『Eye Love You』は“韓ドラあるある”だらけ!? 演出からセリフまで注目ポイントを解説

ドラマ『Eye Love You』第5話より (C)TBS/撮影:高橋裕子

多くの恋愛ドラマを生み出してきたTBS系火曜22時放送の枠で、二階堂ふみチェ・ジョンヒョプという日韓の実力派が共演しているドラマ『Eye Love You』。本作は、水難事故をきっかけに人の目を見ると心の声が聞こえるようになってしまったヒロインの本宮侑里(二階堂)が、韓国人留学生のユン・テオ(ジョンヒョプ)に出会い、心を開いていくというストーリーだ。 “心の声が聞こえる”という侑里の能力は「ファンタジーすぎる!」と思う人もいるだろう。この設定は『トッケビ ~君がくれた愛しい日々~』『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』など数えきれないほど多く作品で、ファンタジー要素を現代社会に溶け込ませて描いてきた韓国ドラマらしさを取り入れていると言える。そんなファンタジーな設定に加え、『Eye Love You』では、韓国ドラマでは“あるある”な演出が行われている。

■韓国ドラマ“あるある”な演出

例えば、第2話のテオの歓迎会。居酒屋で酒を飲み交わすシーンは日韓どちらのドラマでもよく見るシーンだが、会も終わりに近づいてきたときのテーブルに注目してほしい。日本のドラマだとビール瓶があちこちに置いてあるところ、本作では韓国の“ソジュ(焼酎)”の瓶が何本も空いている。そして同僚たちの酒癖の悪さもなかなか。テオに「宴会常務ですね」と言われた相原虎太郎(絃瀬聡一)はベロベロだし、花岡彰人(中川大志)はアルコールに触れただけで酔っぱらい、全てを置いて帰ってしまうのだった。

そして飲み会の帰り、テオと侑里が2人きりでいるところに、相原と亀井茂夫(ゴリけん)が近くにいたため、バレないように体を寄せ合って隠れるシーンも映される。不覚にもドキドキしてしまうヒロインが自分の気持ちに気付くシーンとしてよく見るシチュエーションで、本作でも緊張感が伝わってくる。

また、そのほかのテオと侑里の2人きりのシーンでも“韓ドラっぽさ”を感じることができる。韓国ドラマでなくても、転びそうになった時に支えられて顔が近付いてキスしそうに…という胸キュンシーンはあるあるだが、本作ではそのようなシーンが、韓国ドラマでよくあるような、何度も繰り返されるスローモーションで演出されている。心の声を読めてしまうからこそ、見つめ合うシーンも多い。

第2話には、テオの家が水浸しになってしまったため、仕方なく侑里の家に泊まるというシーンがある。『マイ・デーモン』やチェ・ジョンヒョプが出演している『無人島のディーバ』、さらに現在配信中の『ドクタースランプ』など、メインキャラクターの2人がひとつ屋根の下で過ごしていくうちにお互いを意識していくシチュエーションは最近よく目にする。本作も同様に、侑里はテオといい雰囲気になるという夢まで見てしまうのだった。

■セリフにまで“韓ドラっぽさ”が!

韓国の文化的側面もところどころに散りばめられている。「アイスクリーム買いに行きませんか?」という言葉は、韓国では“2人きりになりたい”という意味があるということ。また2人が一緒にご飯を食べることを約束するシーンでは、日本式の「指切りげんまん」ではなく、親指同士で判を押し、次に手のひらをスライドさせコピーをするという、日本人にはなじみのない展開も描かれている。そしてテオが侑里に花を渡すシーンでは「来るとき拾ったので」と照れ隠しのような言葉を残して去っていく。これもツンデレなキャラクターが相手に何かを渡すときに韓国ドラマでよく使われるセリフだ。

恋愛関係になった2人は、実は過去に会ったことがあった…というストーリー性も“韓ドラあるある”と言えるのではないだろうか。それほどに運命的であることを印象付ける物語構成だ。本作ではそのようなシーンはまだ描かれていないが、テオを自分の息子のように育ててきた教授の飯山利一(杉本哲太)が、侑里と侑里の父親が事故に遭うのを見ていたシーンが映されていたため、少なくとも何かしらつながりがあったとも考えられる。飯山が侑里の能力に気付いて、テオのためを思って恋を邪魔する役割になることもあるかもしれない。

今後は飯山との関係に加え、侑里のことを密かに思う花岡が動きを見せることにもなりそうだ。ドラマの序盤でメインキャラクターの2人が付き合うものの、そのあとに大きな障壁が現れて、2人の仲を裂いてしまうことも“韓ドラあるある”だ。あまりにストレートな性格のテオと社長という立場の侑里との関係はどのような展開になっていくのか注目していきたい。(文:伊藤万弥乃)

© ブロードメディア株式会社