ヘイリー氏陣営が3月の予備選注力に戦術転換、サウスカロライナでの勝利見込めず

Gram Slattery

[ロックヒル(米サウスカロライナ州) 19日 ロイター] - 米大統領選の共和党候補指名を目指して選挙戦を続けているヘイリー元国連大使の陣営は、24日に行われるサウスカロライナ州予備選での勝利をあきらめ、各州の予備選・党員集会が集中する3月5日の「スーパーチューズデー」を含む3月上旬の戦いに向けて資金を投入している。規制当局への届け出や、ヘイリー氏支援者らの話でこうした事情が明らかになった。

戦術転換の動きが強まったのは最近数日で、サウスカロライナではトランプ前大統領の圧倒的な優勢をヘイリー氏が逆転するのは無理だとの見方が、陣営内に広がっていることがうかがえる。

サウスカロライナはヘイリー氏にとっては地元で、24日を前に州内をくまなく遊説して回っているものの、各種世論調査で30ポイント余りもあるトランプ氏との支持率の差をほとんど埋められていない。

そこでヘイリー氏は、生き残りと態勢挽回をかけてスーパーチューズデーなど3月上旬の予備選・党員集会に全力を尽くすことになる、と6人の専門家や支援者が解説した。

マサチューセッツやバージニアなどこの時期に開催される予備選・党員集会は、大卒の郊外在住者というこれまでの選挙でヘイリー氏に票を投じてきた人々が有権者層に入ってくるからだ。

スーパーPAC(特別政治活動委員会)のプライマリー・ピボットの共同創設者としてヘイリー氏を間接的に支援しているロバート・シュワルツ氏は「サウスカロライナは本当に難しい州で、大変なトランプ氏びいきだ」と語る。

シュワルツ氏は、ヘイリー氏がサウスカロライナでそれなりの善戦ができれば、スーパーチューズデーにつながると期待していると述べた。

一方でヘイリー氏がこれまで登録した4つの予備選・党員集会全て大差で敗北しているにもかかわらず、なお一部の献金者からは見捨てられていないことも分かる。ロイターが取材した大口献金者やアドバイザーなどに聞くと、彼らの見立てでは4つの刑事訴訟を抱えたトランプ氏は結局選挙戦からの撤退を強いられ、ヘイリー氏が共和党候補の座に就くのだという。

プライマリー・ピボットは約100万ドルの献金を集めており、無党派層や共和党の予備選に参加することを選んだ民主党員をターゲットに運動を展開。シュワルツ氏は、スーパーチューズデーの舞台となるメーン、マサチューセッツ、コロラド、バージニアの有権者に対してヘイリー氏への投票につながるようなメッセージを送り続けていると話した。

もっともこれらの州は、11月5日の大統領選本選では民主党候補になるとみられるバイデン大統領が勝利する公算が大きく、ヘイリー氏がたとえ共和党の予備選を制しても、他の地域での共和党有権者を獲得する上であまり役に立たないかもしれない。

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