定年を境に給与は平均3~4割減となります。いままでの生活をそのまま続ける……ということが困難になるので、50代のうちに、ライフスタイルを見直すことが重要です。たとえば家電。「子どもの独立」→「世帯人数の減少」を機に、小さめのサイズにするというのも一手。しかし、その選択が必ずしも正解というわけではありません。みていきましょう。
冷蔵庫は容量が小さいと消費電力も小さい…マルかバツか
経済産業省『平成30年度電力需給対策広報調査事業』で家庭における消費電力の内訳をみていくと、エアコンと冷蔵庫がそれぞれ2割を占めていることが分かります。
【家庭の消費電力の内訳】
エアコン(冷房)…6.8%
エアコン(暖房)…13.5%
冷蔵庫…19.0%
照明…11.2%
給湯…12.1%
炊事…9.4%
洗濯機・乾燥機…2.7%
テレビ・DVD…5.3%
待機電力…6.9%
その他(温水便座・パソコン・ルーター含む)…13.1%
電気代が高止まりしているなか少しでも電気代は抑えたいもの。そのために、消費電力の大きな古い家電を買い替えるというのも選択肢のひとつです。
定年前に子どもが独立した50代夫婦。二人暮らしになり、老後を見据えて生活を見直すケースも多いでしょう。
――夫婦二人暮らしになったのに合わせて、冷蔵庫をサイズダウンしよう。そのほうが電気代も安くなるし。
果たして、その効果はいかほど?
冷蔵庫の容量の目安は、「70L×家族の人数+常備品分(100L)+予備(70L)」。4人家族であれば450L、二人暮らしであれば310Lということになります。
経済産業省の資料によると、定格内容積別の冷蔵庫の年間消費電力は、「201~250L」で312kWh、「301~350L」で337kWh、「401~450L」287kWh、「501L~」で278kWhです。年間電気料金は31円(税込)/kWhとすると、年間の電気料金はそれぞれ9,672円、10,447円、8,897円、8,618円。「201~250L」から「301~350L」の冷蔵庫に買い替えると消費電力も増えますが、そこから「401~450L」「501L~」と容積が上がるにつれて逆に消費電力は減っていきます。
家族の人数に合わせて冷蔵庫をサイズダウンすると、かえって消費電力が大きくなり「電気代アップ!」という結果を招くことになるかもしれないのです。
「容量の小さな冷蔵庫」のほうが消費電力が大きくなるワケ
冷蔵庫は売れ筋となる大容量のもののほうが、冷蔵庫を効率よく運転する技術であるインバーター制御など、高度な省エネ技術を採用する傾向にあります。一方で、コストの関係で小型~中型の冷蔵庫には未採用。結果的に容量が小さいにも関わらず、消費電力は大きくなるのです。
しかしこれまで使っていた冷蔵庫が古く、電気を消費するタイプの冷蔵庫だった場合、小さな冷蔵庫に買い替えても、結果的に省エネになる可能性もあります。冷蔵庫は小さいほうが省エネとは限らないので、カタログなどで消費電力をきちんとチェックすることが肝心です。
「冷蔵庫売れ筋ランキングトップ5」を消費電力で比べてみた!
家電を選ぶとき、ランキングを参考にする人も多いでしょう。二人暮らしに適した「定格内容積:300L~400L未満」の冷蔵庫、家電比較サイトの売れ筋ランキングは以下の通り。
1位「日立 R-V38SV」
2位「AQUA AQR-36N2-S」
3位「パナソニック NR-C344C」
4位「パナソニック NR-C374C」
5位「三菱電機 MR-C33J-W」
※2024年2月19日時点
これらを年間消費電力で比べてみると、売れ筋3位の冷蔵庫が電気代は一番お得、という結果になりました。
1位「パナソニック NR-C344C」…330/kWh(10,230円)
2位「日立 R-V38SV」…336/kWh(10,416円
3位「パナソニック NR-C374C」…341/kWh(10,571円
4位「AQUA AQR-36N2-S」…349/kWh(10,819円
5位「三菱電機 MR-C33J-W」…356)/kWh(11,036円)
※(かっこ)内は年間電気料金は31円(税込)/kWhとした際の年間の電気代
※各社商品カタログ参照
売れ筋商品で選んでも、年間806円、電気冷蔵庫の平均使用年数である13年で10,478円の差になります。塵も積もれば大きな差。見た目や人気だけでなく、きちんとカタログで消費電力も比較して選びましょう。
[参考資料]