WRCチャレンジプログラム2期生、ラリー2での2戦目『ラリー・スウェーデン』で完走果たす

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である、小暮ひかると山本雄紀は、2024年シーズンの2戦目として2月15日~18日にスウェーデン北部で開催されたWRC世界ラリー選手権第2戦『ラリー・スウェーデン』にトヨタGRヤリス・ラリー2で参戦。両名ともにラリー2車両では初出場となるWRCイベントを最後まで走り切り、山本はWRC2カテゴリー10位、小暮は同20位で完走を果たした。

 小暮と山本は2月上旬にフィンランドで開催された国内イベント『アークティック・ラップランド・ラリー』で初の四輪駆動車両となるGRヤリス・ラリー2をドライブ。今シーズン2戦目となるスウェーデンにも引き続きGRヤリス・ラリー2で臨むこととなった。両名ともに前年もこのイベントには参戦しているが、前輪駆動車両のラリー4マシンから、パワーもスピードも大きく異なるラリー2で出場した今回は、大きなチャレンジとなった。

 スウェーデン北部の都市ウメオを中心とするステージはすべてが雪に覆われ、ハイスピードなコーナーが連続する。一日を通して走行する“フルデイ”初日の金曜日は大雪に見舞われ、路面は非常に滑りやすいコンディションとなった。こうした道での経験がWRC2のライバルと比べて豊富ではないふたりは、トリッキーな路面に苦戦しながらも着実に経験を積んでいき、徐々に路面に合った走りができるようになる成長を見せた。

 コドライバーのマルコ・サルミネンとペアを組む山本は、金曜日をWRC2カテゴリー7番手で走破。トピ・ルフティネンとペアを組む小暮は雪壁でのスタックや2本のパンクなどで30分近くを失ってしまったが、いいペースでの走りを見せた。

 イベント中最長の一日となった土曜日は、ステージのコンディションが金曜日から大きく異なり、青空の下でハイスピードな戦いが繰り広げられた。山本は夕方のステージでパンクを喫し、サスペンションにもダメージを受けてしまう。これによってスロー走行を余儀なくされてしまったが、それでも山本はWRC2カテゴリー10番手でこの日を終えた。一方の小暮は、午後のループの最後でまたしても雪壁に激突してスタック。ここでデイリタイアとなってしまった。

 続く日曜日、小暮は再出走を果たし、多くの経験を積んでWRC2カテゴリー20位での完走を果たした。山本も今後に向けていろいろな走りを試しながらこの日のステージを走りきり、WRC2カテゴリー10位のポジションを守ったままフィニッシュした。

「厳しい戦いになると分かっていたが、ポジティブな週末となった」と語ったのは、WRCチャレンジプログラムでインストラクターを務めるユホ・ハンニネンだ。

「(小暮)ひかると(山本)雄紀にとって厳しい戦いになることは分かっていたが、ラリー2車両での参戦はまだ2回目で、コンディションもかなり厳しかったにもかかわらず、ポジティブな週末となった」

「雄紀は全ステージを、ひかるはほぼすべてのステージを走り、多くの経験を積むことができたし、ノーミスでクリーンな走りができたときのステージタイムは、かなり良かったと思う。とくに金曜日のコンディションは誰にとっても厳しいものだったが、このようなクルマで走った経験が少ないことを考えれば、彼らは良く乗り切ったと思う」

「その後も路面のグリップ状況は頻繁に変化し、経験が少ないドライバーがドライビングを適応させるのは難しい状況だった。今回、彼らは確実に多くのことを学んだと思うし、次のフィンランドでのラリーは少し易しく感じられることだろう」

ラリー・スウェーデンで完走を果たした小暮ひかる/トピ・ルフティネン組(トヨタGRヤリス・ラリー2)

■「本当にいい週末になった」「いい勉強になりました」ドライバーコメント全文

●山本雄紀(GRヤリスラリー2/WRC2クラス10位)

「難しい場面もありましたが、本当にいいラリーでした。コンディションは毎日大きく変化しましたが、それもいい経験でしたし、勉強になりました」

「金曜日は雪が多く降って多くの轍が刻まれるなど、本当にトリッキーでしたが、そのようなコンディションでもいいフィーリングを持ち続けることができました。土曜日の終盤は岩にぶつかってしまい、最後のステージはかなりゆっくり走らなければなりませんでした」

「しかし、日曜日はコンディションが非常に良く、自分のフィーリングもどんどん良くなっていきました。速いドライバーたちの走行ラインをフォローし、彼らとタイムを比較できたのもいい経験でした。本当にいい週末になりましたし、次のラリーでも学びを続ければ、もっといい走りができるようになるはずです」

●小暮ひかる(GRヤリスラリー2/WRC2クラス20位)

「浮き沈みの激しい週末でしたが、全体的にはとてもいい経験になりました。フラストレーションを感じる場面もありましたが、ステージによってはいいスピードといいリズムで走ることができました」

「アークティック・ラップランド・ラリーと比べると、自分のペースが良くなっていることを感じましたし、ステージごとにつねに改善していきました。ステージは全体的にとても高速でしたが、金曜日はトリッキーなコンディションになり、いい経験を積むことができました」

「ラリー終盤にかけては大きく順位を下げていたので、路面にはグラベル(砂利)が多く出ていて、タイヤに厳しいコンディションでした。それも含めていい勉強になりましたし、走りを楽しむこともできました。雪道での走行距離を稼ぐことができたので、次のラリーではさらにスピードを上げられるようになることを期待しています」

 小暮と山本の次戦は、3月8日~9日にフィンランドで開催されるフィンランド・ラリー選手権第3戦『トゥーリ・ラリー』だ。このラリーもまたフルスノーイベントとなっているが、こちらは全体的にフラットかつ高速ステージが多いことが特徴となる。WRCチャレンジプログラム2期生のふたりにとっては、GRヤリス・ラリー2で臨む3戦目のラリーとなる予定だ。

山本雄紀/マルコ・サルミネン組(トヨタGRヤリス・ラリー2) 2024年WRC第2戦ラリー・スウェーデン

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