仕事の仕方や進め方の違いを埋めるために、世代間ギャップを理解しよう

仕事の仕方のギャップを埋めるために、世代間ギャップを理解しよう

2024年の2月現在、皆さんは、「世代間ギャップ」について考えたことがありますか?ジェネレーションギャップとも言われていますが、オフィスで働く20代〜50代の幅広い人たちの中で価値観や文化、常識、考え方が異なる現象のことを指します。

世代間ギャップは、それぞれが幼少期から育つ中で、教育・社会環境・技術革新などの影響を受けた人たちとの相互理解があって、初めて解消されるものです。

例えば、電話対応の得意不得意の問題。固定電話が自宅にあるのが当たり前の環境で育った人と、スマートフォン普及後の個人向けのコミュニケーションが当たり前の環境で育った人とでは、多様な人が働く「職場」での電話対応に抵抗を持つ人がいても不思議ではありません。

報告・連絡・相談(いわゆる報連相)も、基本は口頭でのやりとりと思われていますが、フルリモート勤務などが浸透した現在となっては、テキストやチャットでのコミュニケーションを優先する人もいます。更には、企業への帰属意識やコミットメントの意識も多様化し、ワークライフバランス重視、転職は当たり前、就社ではなく就職という意識の浸透により、マネジメントの難易度は格段に高くなっている現実が、あちらこちらで表出しています。

プロフィール/西村麗子

フリーキャリアカウンセラー。著述家。

Association of Research for Career & Art (通称:アルカ)代表。

名古屋大学経済学部卒業後、(株)リクルートを経て独立。名古屋大学・名古屋市立大学元非常勤講師。延べ3000人を超える個人カウンセリング実績や、大学・企業・NPO・地域コミュニティでの300回以上の研修・講演・講義の登壇実績を持つ、多様な人の生き方・働き方を支援するキャリア支援のプロフェッショナル。 著書に「自分らしいキャリアを拓く羅針盤」「宇宙一楽しい発達凸凹ちゃんの育児ソリューション」

それぞれの世代ごとの特徴は?

Z世代(1990年代~2012年頃誕生)は、ソーシャルネイティブでもあり、物質的には満ち足りてきた世代と言われています。

さとり世代(1987年頃~2004年誕生)は、自然災害や不安定な経済状況を経験する中で、金銭的な裕福さよりも、穏やかで安定した生活を求める傾向があると言われています。

ゆとり世代(1987年~2004年誕生)は、さとり世代同様時期に誕生した人々ですが、教育指導要領の改訂によって「ゆとり教育」を受けてきた世代です。学力低下など教育の二極化を生みましたが、多彩で多様な人材を輩出するという意味においては人間性を豊かにするという教育目標には叶った世代とも言われています。

氷河期世代(1970年~1982年頃誕生)は、バブル経済が崩壊し、日本全体が就職難になった時期に就職活動をしていた世代です。不安定で辛い時代を経験しているため、真面目で堅実、タフという傾向があると言われています。

バブル世代(1965年~1970年頃誕生)は、2024年時点で50代半ばです。終身雇用や年功序列が当たり前の時代であり、右肩上がりの成長が続くと思われていたため、昭和の愛社精神を持った最後の世代とも言われています。

世代間ギャップは必ず生じるもの。違いを前提にコミュニケーションを取ってみて。

簡単に世代ごとの特徴を書き表してみましたが、育ってきた環境の差によって、価値観や捉え方、強み、弱みなどが異なるため、仕事の仕方や進め方にも違いが生じてきます。

世代間ギャップは必ず生じるものですので、違いを前提に、コミュニケーションを取りながら仕事を進めていくことが最も大切なポイントとなります。

職場で生じうる問題を最小限にするためには、以下のような配慮や工夫が必要です。

・相手に合わせてギャップを調整する

・大切な「価値観」は妥協せず、尊重し合う

・口頭での理由説明を、時間をかけて行う

・業務遂行時には上司が理解しようとする姿勢を持つこと

世代は異なれど、基本的には同じ人間です。相互理解を図りつつ、世代だけではない男女差や、その他個性による価値観や違いも受け入れつつ、お互いをけなし合うのではなく、高めつつ、褒めつつ、良い状態を醸成していく意識で、チームとしての一体感を演出するようにしましょう。

自ずと、職場でのチームとしての一体感が育まれ、成果や結果はついてくるはずです。

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