大学の学費を「無償化」することはできる? 必要な学力や家計基準を教えて!

大学無償化とは

大学無償化とは、世帯年収や学業成績の条件を満たした学生に対し、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の授業料や入学金を減免したり給付型奨学金を支給したりすることで、教育費の負担を少なくするしくみです。2020年4月に消費税を財源とした「高等教育の修学支援新制度」としてスタートしました。

日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果(2021年12月20日)」によれば、大学卒業までにかかる費用の平均は、私立大学文系に進学した場合は951万6000円、私立大学理系に進学した場合は1083万4000円、国公立大学に進学した場合は743万円かかります。

世帯年収に占める子ども全員にかかる年間在学費用は平均が14.9%となっており、10%以上20%未満を占める家庭が35.4%と最も多いです。高等教育の修学支援新制度は、教育費の中でも最も大きな負担になる大学生がいる世帯を支援する取り組みとなっています。

支援を受けられる世帯年収の要件

大学無償化の支援を受けられる基準の世帯年収は、家族構成や子どもの年齢等によって異なります。

例えば、両親、大学生、中学生の4人家族の場合、年収が270万円までの世帯(住民税非課税世帯)は満額の支援を受けることが可能です。

また、住民税非課税世帯に準ずる世帯として、同じ家族構成で年収300万円までの世帯は満額の3分の2、年収380万円までの世帯は満額の3分の1の支援が受けられます。なお、支援には上限が定められており、進学先の学校の種類や一人暮らしか自宅通学かによっても支援額は異なります。

また、同じ4人家族の構成でも、大学生の下の子どもが高校生の場合は、支援を受けられる年収の上限が高くなります。家族構成はさまざまなので、自分が条件にあてはまるのかどうかは、一度リサーチしてみるとよいでしょう。

支援を受けられるための学力

支援を受けるためには、学びたい気持ちを持っていて一定の成績を収めることが必要です。修業年限で卒業できないことが確定した場合、習得単位数が標準の5割以下、出席率が5割以下など学ぶ意欲が見られない場合は支援が打ち切られます。

なお、習得単位数が標準の6割以下の場合、平均成績が下から4分の1の場合、出席が8割以下の場合など、学習意欲が乏しいと大学が判断した場合は警告がおこなわれ、連続して警告を受けると支援の打ち切りになるため注意が必要です。また、場合によっては返還を求められるケースもあるため留意しましょう。

支援を受けるためには真面目に学修する態度が必須

高等教育の修学支援新制度は、2024年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(年間収入約600万円)にも支援を拡大するといわれています。現状の制度のように収入による要件は定められておらず、扶養する子どもが3人以上の場合に授業料の減免や給付奨学金を受けられるとしています。

ただし、大学無償化は公費を利用した制度です。支援を受けるためには授業に真面目に出席し、必要な単位を修めることが求められます。

出典

文部科学省 学びたい気持ちを応援します
日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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