“崩れないスタッツ”で1位 松山英樹が4連戦目で見せた安定感

ショットがブレても崩れない(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇ザ・ジェネシス招待 最終日(18日)◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71)

松山英樹の2年ぶりの優勝は、6打差からの逆転劇だった。前週「WMフェニックスオープン」は、過去2勝の大会で22位。車の座席に深く身を沈めてコースを去る姿を見送ったとき、こんなシナリオは予想できなかった。

ジェネシス招待までの今季5試合で、最高位は「ファーマーズインシュランスオープン」の13位止まり。「ショットもアプローチもパターも、良いところと悪いところの差がかけ離れ過ぎて、スコアに繋げられない」とこぼしていたのが前週の開幕前。調子の波が激しく、一度流れを崩すと立て直すのが難しくなる。「ファーマーズ―」は第3ラウンドで5連続ボギーを喫し、2週前の「AT&Tペブルビーチプロアマ」も、初日後半で4ボギーをたたいた。

不安定さが徐々に薄れていったのが今週。ここまでの5試合と比べてボギーの数が格段に減った。ショットがブレても、ショートゲームで必ずカバーする。初日の7番、最終日2番のチップインを含み、パーオンを逃してもアプローチで取り戻す。4日間の「スクランブリング率」(グリーンを外したホールをパーかバーディで上がる確率)が大会1位の83.33% (20/24)を記録し、“崩れなさ”が際立った。

苦戦していたパッティングも復調し、2日目には「悪いところはほぼなかった。良いストロークができていた」と、ロングパットが残ってもしぶとくパーを拾った。最終日も12番で15mのバーディパットをねじ込み、13番で手前カラーからパターで打った同じ距離のバーディトライも「入るかも」と期待させるムードを漂わせた。

ショットに関しては、「不安が大きかった」と本人からポジティブな言葉はまだ出てこないが、黒宮幹仁コーチは「3日目あたりからショットもちょっと良くなってきて。爆発したら、面白いかなと思って見ていた」と最終日のスタートを見送っていた。

スイング修正のため、「ファーマーズ―」から、今までやっていなかったようなクラブをアップライト(タテ)に上げるシャドースイングが見られた。「コントロールショットは距離感ができていると思いますけど、フルショットでも距離感を合うようにできたら、もっと良くなるかなと思います」と同週に話していた松山。そこからの4連戦を終えて、取り組みが実を結びつつある。

勝利を引き寄せた最終日終盤、15番は6Iの2打目を30㎝につけ、16番(パー3)も8Iで20㎝に乗せてタップインバーディ。ショットで決定的なチャンスを作ったことは、確かな手応えとして残ったのではないだろうか。

松山は優勝会見で「日曜に上位で回っている状況で、このスコアを出せたのはすごくうれしいです」と話しつつ「いつもショットのほうが良いので、そっちで(ラウンドを)評価している。きょうはパットとショートゲームが良くて、このスコア。難しいけど…」と首をひねった。「62」を出しても…と驚かされたが、同時にそれは上を目指し続ける姿勢が垣間見えた瞬間だった。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/谷口愛純)

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