対中直接投資、過去30年で最低に―独メディア

19日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、海外からの対中投資額が過去30年で最低となったことが中国政府の最新統計で明らかになったと報じた。写真は上海。

2024年2月19日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、海外からの対中投資額が過去30年で最低となったことが中国政府の最新統計で明らかになったと報じた。

記事は、中国の外国為替管理局がこのほど発表したデータで、昨年の海外からの対中投資純額が330億ドル(約5兆円)で22年から約80%減少し、ピークだった21年の3440億ドル(約52兆円)から2年連続で減少したことがわかったと紹介。年間では新規投資額が流出資金を上回ったものの、7〜9月には初めて流出資金超過に転じ、10〜12月には流出資金が新規投資額を175億ドル(約2兆6000億円)上回ったと伝えた。

その上で、中国は1970年代末の改革開放政策実施を機に海外の資金や人材、技術の呼び込みと注力し、特に92年の鄧小平(ドン・シャオピン)氏による「南巡講話」以降は海外からの対中投資が年々増加していったと解説した。

一方で、中国政府が昨年4月に「反スパイ法」を改訂してからは外国企業が中国事業を縮小し続けていると指摘。中国当局により外国企業が調査を受けたり、外国企業の従業員が身柄を拘束されたりといった情報がしばしば流れるようになったほか、多くの市場調査会社が中国での作業計画を遅らせており、米国の調査会社ギャラップも中国からの撤退を決定したと紹介している。

さらに、米国が対中半導体輸出規制を発動したことで、半導体関連の外国企業が中国から撤退しているとし、2018年には48%を占めていた世界の半導体産業における中国の対外直接投資(FDI)シェアが22年には1%に激減する一方で、米国は0%から37%に、インド・シンガポール・マレーシアの合計シェアも10%から38%へと大きく増加したと伝えた。

記事は「中国は電気自動車や監視カメラ分野で技術的な優位性を獲得しているものの、ハイエンド半導体分野では外国企業との提携が不可欠。外国企業が中国からの撤退や事業縮小を続ければ、中国の生産力向上ペースは徐々に鈍化するだろう。さらに、国内の労働力減少も相まって、中長期的に見て中国の経済成長に影響を与える可能性がある」と論じている。(翻訳・編集/川尻)

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