徴用工に初の日本企業資金支給 韓国、日立造船供託金670万円

記者会見する林官房長官=20日午後、首相官邸

 【ソウル共同】韓国最高裁で日立造船の敗訴が確定した元徴用工訴訟で、原告側の弁護士は20日、同社が裁判所に預けた供託金6千万ウォン(約670万円)が同日付で原告側に支給されたと明らかにした。一連の元徴用工訴訟のうち、原告側が日本企業の資金を受け取ったのは初めてで、日本政府は「不当な不利益」と反発した。ソウル中央地裁が支給を認め、原告側は「日本企業による事実上の賠償」だと強調した。

 1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本政府の立場に反して日立造船に金銭的負担が生じた。林芳正官房長官は記者会見で「日本企業に不当な不利益を負わせるもので極めて遺憾だ」と反発した。一連の訴訟では三菱重工業なども敗訴が確定したが、供託金を預けていたのは日立造船のみで、他社に同様の事態は波及しない。

 日立造船は取材に「現時点では事実確認ができていないので、コメントは差し控える」とした。

 韓国政府は昨年3月、政府傘下の財団が賠償相当額を肩代わりする解決策を発表し、一部原告らが受け入れた。

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