EV航続距離がどちらも90km越え!ポルシェが新型 パナメーラに新しいPHEV「4 E-ハイブリッド/4S E-ハイブリッド」を設定

ポルシェは2024年2月20日、E-パフォーマンスラインナップのアップグレードを発表。新型パナメーラに新しい4 E-ハイブリッドと4S E-ハイブリッドを設定しました。世界で高性能なハイブリッドシステムに対する関心が強まっている状況に対する、ポルシェのひとつの回答と位置付けれらるようです。

ダイナミック性能とともに、EVでの航続距離が大幅に拡大

各ダンパーには、400Vシステムで駆動される電動油圧ポンプが搭載されており、リバウンド方向とコンプレッション方向に積極的に力を蓄えることができる。ピッチングやローリング動作の過渡特性の補正や、乗り降り時のボディの上げ上げなど、革新的な機能も備える。

2023年11月24日にフルモデルチェンジを果たした新型パナメーラは、2.9LのV6ツインターボ(353ps/000Nm)を搭載するパナメーラ/パナメーラ4を基本に、V8ツインターボにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせた強力なPHEVモデル「ターボE ハイブリッド」(システム最高出力680ps/最大トルク930Nm)をラインナップしていました。

今回、新たに設定された4 E-ハイブリッドと4S E-ハイブリッドは、このふたつのパワートレーンの間に配されるもので、どちらもプラグイン充電が可能なE-パフォーマンスを備えています。

より効率的で汎用性に富むパナメーラ4 E-ハイブリッドは、高効率化を徹底した2.9L V6ツインターボエンジンにE-ハイブリッドシステムを組み合わせ、システム最高出力470ps/最大トルク650Nmを発生。0→100km/h加速は従来型の4.4秒から4.1秒に短縮されました(最高速度280km/hは変わらず)。

さらなるドライビングダイナミクス、とくに高回転域までエモーショナルな性能を追求するパナメーラ4S Eハイブリッドも、2.9L V6ツインターボエンジン×Eパフォーマンスのレイアウトは同様ですが、システム最高出力は544ps、最大トルクは750Nmを発生しています。

パワースペック自体は少し控えめになりましたが、0→100km/h加速3.7秒は変わらず。最高速度は298km/hから290km/hに下がっていますが、ロードカーのポテンシャルとして不満があろうはずもありません。

それ以上に今回の新ラインナップで注目すべきなのは、EV航続距離がどちらも大幅に伸びていることでしょう。バッテリー容量は17.9kWhから25.9kWhまで拡大。同等のスペースで約45%の容量アップを果たしています。

最大で88kWまで回生能力が向上した電気モーターと相まって、4 EハイブリッドでWLTPの市街地航続距離は最大96km、4S Eハイブリッドでも92km(従来型は54km)を達成しました。

電気モーターがより「主役級」に進化する恩恵とは

従来型とスペックの違いを見ると、進化型E-パフォーマンスの特徴は、電気モーターの役割が強化されている点にあると考えられます。

各ダンパーには、400Vシステムで駆動される電動油圧ポンプが搭載されており、リバウンド方向とコンプレッション方向に積極的に力を蓄えることができる。

8速PDKデュアルクラッチトランスミッションに組み込まれた電気モーターは、最高出力140kW(190PS)、最大トルク450Nmを発生。先代モデル100kW(136PS)/400Nmよりも大幅にパワーアップしています。

V6エンジンの出力はやや抑えられていますが(4 E-ハイブリッドで330ps→304ps、4S E-ハイブリッドで440ps→353ps)、よりドライバビリティに優れる電気モーターの性能が引き上げられたことにより、加減速でのますます鋭いレスポンスが期待できそうです。

電気モーターそのものも改良が進み、内部ローター設計(ローターがステーター内で回転する)により質量慣性が50%減少、スロットルレスポンスが向上しています。また、効率的で重量を最適化した方法でハウジングに組み込まれたことで、PDKトランスミッションのオイル冷却循環の恩恵を受けることができました。

最適化された4つのE-ハイブリッド専用ドライビングモード(E Power、Hybrid Auto 、Sport、Sport Plus)により、E-ハイブリッドモデルの効率はさらに最適化されています。

4ゾーンオートマチッククライメートコントロールや大型センターコンソールなどが、標準装備されている。

ナビゲーションデータと連動したHybrid Autoモードのアクティブルートガイダンスは、前方のルート情報を生かして、バッテリーのマネジメントストラテジーをさらに最適化しました。市街地走行時のEV走行の割合が最大化され、エネルギー効率が高められています。

E-Chargeモードでは、内燃エンジンが市街地外で55km/h以上でバッテリーを最大80%まで充電し、パナメーラは市街地でのハイブリッドドライブの効率性の利点を活用します。

パフォーマンスが重視されるSportモードとSport Plusモードでは、スポーツ性を最大限引き出すために、制御が改良されています。バッテリーの目標充電状態をそれぞれ20%と30%に下げることで(以前は30%と80%)、パフォーマンスを犠牲にすることなく回生エネルギーを効率よく活用することが可能になりました。

新しい11kWのオンボードAC充電器が普通充電の時間を2時間39分に短縮するなど、パナメーラの進化は、より実利に富んだもの。さまざまな意味で、ポルシェの「ファストトラベル」戦略が新たなステージに入ったことを、実感させてくれそうです。

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