「かわいい」「高い木に登れてすごい」森へ戻るケナガネズミに児童が釘付け わなにかかった2匹を放つ 沖縄・国頭村

 環境省とNPO法人どうぶつたちの病院沖縄は15日、今年1月に沖縄県国頭村辺戸の民家で粘着性のネズミ捕りシートにかかり衰弱していたケナガネズミ2匹を森に放獣した。

 ケナガネズミは世界自然遺産のやんばるの森に生息する国指定天然記念物で絶滅危惧種。近年、天敵のマングースの減少や餌となるドングリの豊作で個体数が増えている。

 2匹はどちらも雌の幼獣で、1月1日と2日に連続して民家の屋根裏に設置していたわなにかかった。地域住民らの連絡を受けた同病院が治療に当たっていた。

 2匹は、ゲージが開くと慎重に周囲を見ながら木や細いツタを器用に登り=写真=、森の奥へと姿を消した。放獣には村内の学童クラブの子どもたちも参加して、なかなか見られないケナガネズミに「尻尾の先が白い」「かわいい」など興奮気味に声を上げた。

 辺土名小学校4年の岡本児哲(こてつ)さんは「毛が長くて尻尾の色がきれいに分かれていた。すごく小さいのにあんなに高い木に登れてすごい」と目を輝かせた。

 同省やんばる自然保護官事務所の椎野風香自然保護官は、最近はドングリが不作傾向で、餌を求めて人里に出ることがあると指摘。ネズミ捕りにケナガネズミが入ることがあるとして「ケナガネズミが傷つかないよう、生け捕り式のカゴわななどを使用してほしい」と呼びかけた。(北部報道部・松田駿太)

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