王座を守る戦いがまもなく開幕。新戦力を迎えたトヨタGR、装いを新たに第1戦カタールに臨む

 2月29日(木)から3月2日(土)にかけて、カタールの首都であるドーハ郊外にあるロサイル・インターナショナル・サーキットにて、WEC世界耐久選手権の2024年シーズン開幕戦『カタール1812km』が開催される。今季も引き続き2台体制でシリーズ最高峰のハイパーカークラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingは、新しいカラーリングをまとった7号車と8号車トヨタGR010ハイブリッドのペアで全8戦を戦っていく。

 7号車のドライバーも兼務する小林可夢偉チーム代表が率いるTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2024年もWECのシリーズチャンピオン・タイトルを防衛すべく、まもなく開幕を迎える新シーズンに向けた準備を整えた。

 チームは昨年、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、キャデラックという4つの自動車メーカーと選手権のトップカテゴリーで激突。全7戦のうちル・マンを除く計6ラウンドで勝利を挙げ、ドライバー選手権とマニュファクチャラー選手権のダブルタイトルを獲得した。今季はさらにライバルが増え、BMW、アルピーヌ、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニの計8メーカーを相手に、都合19台で争われるハイパーカークラスを戦っていくことになる。

 そんな日本メーカーのウエポンであるトヨタGR010ハイブリッドは今シーズン、その見た目が大きく変わった。これまでの白基調からマットブラックへとマシンカラーリング一新されたのだ。この新しいGRカラーの内側では各コンポーネントの細かな変更が行われており、信頼性が向上している。

 また、目に見える部分ではLEDヘッドライトの仕様が変わり、これによってウエットコンディションや夜間の視認性が向上しているという。さらに、反時計回りのサーキットでのピットストップ効率を高めるため、GR010ハイブリッドでは初めて車両の左側でも給油できるように改良が行われた。

 既報のとおりドライバーラインアップも一部に変更があり、7号車はテスト兼リザーブドライバーを務めていたニック・デ・フリースを迎え、可夢偉、マイク・コンウェイと新しいチームが組まれることに。一方、現チャンピオンにしてシリーズ2連覇中の姉妹車8号車を駆るセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮のトリオは継続起用となっている。

 以上6名のドライバーとTGR、そしてマットブラックのニューリバリーをまとったトヨタGR010ハイブリッドは、開幕戦に先立って行われる公式テスト“プロローグ”で今年初めて公の場に姿を現す予定だ。このテストは開幕戦の舞台であるロサイル・インターナショナル・サーキットで2月24~25日に行われるが、チームは昨年11月の段階ですでに同サーキットでのテストを実施している。

 開幕戦『カタール1812km』は今月29日(木)に走行開始。翌3月1日(金)に予選が行われ、決勝は2日(土)11時/日本時間17時にスタートが切られる予定だ。レース距離はカタールの建国記念日である12月18日にちなんだ1812kmとされ、最大時間は10時間に設定されている。

7号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブする(左から)ニック・デ・フリース、小林可夢偉、マイク・コンウェイ

■「経験がアドバンテージになる」「最大の目標はル・マン」/TGRドライバーコメント

●小林可夢偉/チーム代表兼7号車ドライバー

「今シーズンのハイパーカークラスの競争は、これまで以上に厳しくなると思っています。好成績を残していくのはより難しくなると思いますが、その分、特別なものになりますし、チームの皆が本当にやる気に満ちています」

「昨年、我々は世界耐久選手権でチャンピオンを獲得しましたが、ル・マンでは優勝を逃したので、その奪還が今年の最大の目標です。耐久レースでは、成功するには車のパフォーマンスだけでなく、メカニック、エンジニア、ドライバー全員が完璧に機能するチームワークが必要です。激しい競争の中で、我々はさらにハードにプッシュする必要があり、チーム全員による最高のチーム力が必要だと思っています」

「我々の今までの経験はアドバンテージになりますし、今シーズンに向けて集中してきました。準備は整っています」

●マイク・コンウェイ/7号車トヨタGR010ハイブリッド

「10年というと長いようですが、過ぎてしまえばあっという間だった。さまざまなレースカーと、さまざまなチームメイトとともに多くの楽しい時間を過ごしたことは、思い出深い。毎年楽しかったが、今年も同じように楽しめるだろう」

「我々7号車は昨年4勝を挙げており、今年もそのままの勢いで戦えることを期待している。ライバルがさらに増え、戦いはさらに厳しくなるが、僕たちには勢いがあるし、それを活かしていかなくてはならない。カタールは誰にとっても初めてのコースなので、力強いパフォーマンスで良いスタートを切りたいと思っているよ」

●ニック・デ・フリース/7号車トヨタGR010ハイブリッド

「多くのマニュファクチャラーが参戦し、勢いに乗るWECという素晴らしいシリーズに、TGRの一員として参加できることは本当に光栄だ。最初のレースを戦うのを長い間待ち望んでいたので、とても興奮している」

「長い歴史を誇るこのチームの一員として戦う以上、勝利を目指すのは当然だし、これまでの勢いを活かして初戦のカタールから上位を争えればと思っている。昨年暮れにカタールではテストで走行しており、準備はできているし、やっとレースが始められることにわくわくしているんだ」

ポール・リカールでテストを行うトヨタGR010ハイブリッド

●セバスチャン・ブエミ/8号車トヨタGR010ハイブリッド

「今年はWECのトップカテゴリーにおいて、僕が経験してきた中でも最多の台数がグリッドに並ぶので、大きなチャレンジになると思う。我々はGR010ハイブリッドと組織全体の改善に向けて懸命な努力を続けてきたので、上位を争う自信はあるが、もちろん簡単ではないだろう」

「カタールが本当に楽しみだよ。カタールでは11月末にテストを行ったので、コースとGR010ハイブリッドで走るフィーリングはわかっている。印象的なコースで、GR010ハイブリッドで走るのは最高だし、素晴らしいイベントになるだろう」

●ブレンドン・ハートレー/8号車トヨタGR010ハイブリッド

「シーズン開幕が本当に楽しみだ。ライバル勢はさらに強力になり、良いバトルができるだろう。予選はこれまで以上に重要になるし、すべてのポイント、すべてのオーバーテイク、そして、すべてのポジションが重要になる」

「ミスを犯すことなく、チームと一丸となって、すべてのポテンシャルを引き出すべく戦う必要がある。世界チャンピオンの防衛がかかっているので、ややプレッシャーはあるが、豊富な経験を持つ素晴らしいチームだし、挑戦へ向けた準備はできていると感じている」

●平川亮/8号車トヨタGR010ハイブリッド

「私にとってTGRでのWEC参戦は3シーズン目となり、チームの一員であるという実感はさらに増しています。8号車をともにドライブするセバスチャン(・ブエミ)とブレンドン(・ハートレー)とは、お互いの関係も良く、楽しんでいます。世界チャンピオンを2年連続で獲得できたというのは本当に特別なことで、もちろん今年もその防衛が目標ですが、私自身の最大の目標はル・マンでの優勝です」

「ハイパーカーのライバルが増え、これまで以上に難しい挑戦となりますが、誰もがとても楽しみにしています。カタールでレースを始めるのが待ちきれません」

8号車トヨタGR010ハイブリッドを駆るチャンピオントリオ。(左から)セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮

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