原告の供託金受領、「極めて遺憾」=元徴用工訴訟で官房長官

Kazuhiko Tamaki

[東京 20日 ロイター] - 林芳正官房長官は20日午後の会見で、元徴用工訴訟で日立造船が裁判所に預けた供託金が原告側に引き渡されたことに関し「極めて遺憾である」と述べた。その上で日本側の意思を韓国側に伝えると語った。

日立造船が被告となっていた元徴用工訴訟は昨年12月、同造船の敗訴が韓国最高裁で確定。同社が韓国の裁判所に供託金を預けていたが、この訴訟の原告側は20日、供託金を受け取ったと公表した。元徴用工訴訟で日本企業の資金が原告側に渡ったのは初めて。

林官房長官は供託金が原告側に引き渡されたことを認め「これは日韓請求権協定2条に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不当に不利益を負わせるものであり、極めて遺憾である」と語った。その上で、韓国政府が昨年3月に発表した措置を踏まえて「適切な対応がなされるよう韓国政府に求めている」と述べた。

韓国政府は昨年3月、韓国政府傘下の財団が被告の日本企業に代わって賠償する方針を表明していた。

林官房長官は、同時に「日韓間に存在する諸懸案について引き続き管理し、相手方と緊密に意思疎通を図るべきことは、政府として当然の責務である」と説明。「わが国の一貫した立場に基づき、適切に対応していく」とした。

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