愛知県知事リコール運動を巡る署名偽造事件の裁判 元事務局長の男が改めて無罪主張

テレビ愛知

愛知県の大村知事のリコール運動を巡る署名偽造事件。地方自治法違反の罪に問われているリコール団体の元事務局長の裁判で、20日最終弁論が行われ、弁護側が改めて無罪を主張し結審しました。

高須克弥院長:
「リコールの署名活動を開始いたします」

2020年8月、美容外科・高須クリニックの高須克弥院長らが大村知事の解職請求のため、本格的な署名活動を開始しました。2019年の芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展で、慰安婦をモチーフにした少女像が展示されていたことなどが問題だとして、実行委員会の会長だった大村知事の解職を求めたのです。

この運動には、名古屋市の河村たかし市長も応援団として参加していました。

署名活動開始から約2か月後。大村知事のリコールを求め提出された署名は、約43万5000人分。しかし、提出された署名の中にすでに亡くなっている人のものなどが含まれていたことが発覚。愛知県選挙管理委員会は、提出された署名の8割以上について無効と判断しました。

田中孝博被告

記者:
「リコール団体事務局長の田中容疑者を乗せた車が愛知県警本部に入っていきます」

リコール団体の事務局長だった田中孝博被告が、署名を偽造した疑いで逮捕、その後起訴されました。起訴状などによりますと田中被告は2020年10月下旬、すでに有罪判決が確定している田中被告の次男らと共謀の上、佐賀市でアルバイトを動員し、有権者71人分の署名を偽造した罪に問われています。

これまでの裁判で弁護側は、代筆作業は事実とした上で「虚偽にリコールを成立させる考えはもっていなかった」「選挙管理委員会が、リコール成立の必要数に達していない署名簿を返却せずに調査したのは違法」だと主張しています。

一方、検察側は「違法収集証拠と排除する余地はなく、被告が100万筆の署名偽造を指示するなど、リコール成立の目的で犯行に及んだのは明らか」などとして懲役2年を求刑しています。

最終弁論に出廷した田中孝博被告

20日午前10時から始まった最終弁論で弁護側は「県選挙管理委員会が不当に署名の返却を拒み、署名の有効性を検討したのは違法」と述べ、改めて無罪を主張しました。

裁判長から「何か言いたいことはありますか」と問われた田中被告。

田中被告は、「みなさまの激励と支援にお応えできなかったことを深くお詫びいたします」「世論調査への誘導は合法的な政治活動と考え、書き写しも合法的な活動と思慮した」と述べました。

そして最後に「リコール活動や人生、政治活動について見直す時間を与えていただいた。今後、研鑽を重ね、改めて政ごとの活動を行っていきたい」と話し、裁判は結審しました。

判決は4月19日に言い渡されます。

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