アニメ『葬送のフリーレン』“原作勢待望のミミック回”にファン大興奮「原作より詳細でイイ!」

2月16日(金)に放送されたアニメ『葬送のフリーレン』第23話では、一級魔法使い試験 第二次試験がついに開始。“未踏破ダンジョン”の最奥を目指す受験者たちを、命を落としかねない“罠(わな)”の数々が待ち受ける…。そんななか、唯一“攻略”を楽しんでいたフリーレンは宝箱の魔物「ミミック」と遭遇。明らかな罠と分かりながらも“魔導書”目当てについ手を出してしまうその光景は、“原作ファン”からも長く待望されてきたシーンだ。まるで伝統のお笑い芸のような一連がいざ描かれると、視聴者の間では「お宝が絡むとポンコツになるフリーレンさんに草」「“大魔法使い”の肩書きの隣に“ミミック芸人”を付けるべき」と笑いの渦が。果ては“わざと引っかかってるのでは…?”と様々な憶測も飛び交い、Xでは「#フリーレン」に加え「#ミミック」もトレンド入りした。
(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆ゼンゼの試験

緑生い茂る崖の中腹に〈零落の王墓〉と呼ばれる遺跡の入り口があった。巨大な石造りの彫像たちが、集まった18名の受験者を見下ろす。「それでは、第二次試験の詳細を説明する」。少女のような試験官ゼンゼが言った。地面まで届かんとする長い毛髪の隙間から見えるそのまなざしはとても落ち着いて見える一方で、どこか冷酷さも感じさせた。それはきっと彼女に関するあるウワサが原因だろう。3年に1度行われる一級魔法使い試験で過去、ゼンゼが試験官を務めた年の合格者はいずれも0人だったという…。

今回彼女が出した合格条件はただ一つ、 “零落の王墓の最深部までたどり着くこと”。「私は平和主義者でね。争いは好まない。よってたどり着いたものは全員合格とする」。ゼンゼの言葉は、受験者たちの不安を見透かしているようだった。そこへ、“待った”の声。第一次試験を突破した一人、法師のような装いの男ブライが言った。「ここは多くの冒険者が帰らぬ者になった未踏破のダンジョンだ。また合格者を出さないつもりか?」。だがその言葉は、ゼンゼにとってただの詭弁(きべん)だった。「何を言っている。君たちが目指しているのは魔法使いの最高峰だ。不可能を可能にするのが“一級魔法使い”。未踏破だろうが前人未踏だろうが、ねじ伏せて突き進むんだ」

すると、彼女の魔法だろうか…? ゼンゼは長い髪のひと束をまるで手足のように操ると、封がされた円錐(えんすい)型の小瓶を受験者18名にそれぞれ配った。中には膝を抱えて縮こまる土色の人型ゴーレム。“もしも”のときに瓶を割ればゴーレムがダンジョンの外へ運び出してくれるという、試作段階の魔法アイテムだ。ただし使用した者はその場で不合格。また目的地へたどり着く前に第二次試験の期限となる夜明けが訪れた場合にも、瓶は自動的に割れるらしい。諸々を説明後、ゼンゼは一呼吸おいて一同を見渡す。「それでは、試験開始だ」

試験官ゼンゼ(一級魔法使い) 第一次試験では“結界”を破壊したフリーレンに一目置いていた

〈零落の王墓〉には入り口には、柱で分けられた“4つのルート”があった。「…統一王朝期のダンジョンのようだな」。宮廷魔法使いデンケンの見立てでは、どのルートを進んでも最終的にたどり着く場所は同じ。試験官の話通りならば今回は受験者同士の争いも必要ないため、18名で協力して挑むのが最善だ。

だが、一部の受験者が「捨て石にされるリスクもある」と拒絶。それをきっかけに単独で挑む者や第一次試験と同じメンバーで集まる者、それぞれが思い思いのやり方でダンジョンへ足を踏み入れていく。ちなみに試験官のゼンゼは「君たちが一番安全そうだ」と、フリーレンとフェルンの2人に同行していった。…結局、デンケンの元に集まったのはリヒターとラオフェンの元“第13パーティー”、そして無口な少女レンゲと、芯の強そうなブロンド髪の女性メトーデ。5人はともに右端のルートへと進むのだった。

第一次試験でフリーレンと組んでいた幼なじみコンビのカンネとラヴィーネは、2人一緒にダンジョンへ潜った(画像は第20話より引用)

◆“詳しい”理由

〈零落の王墓〉の中は所々に灯りもついており、恐ろしい場所というよりは厳かな雰囲気がまさっていた。しかし道中、やけにガタついた石畳の廊下に出ると、デンケンは“上下”を交互に見て言った。「中心の床は踏むなよ…」。おそらく一部の床を踏むと天井が落下してくる罠だろう。床と天井には同じ人型の黒いシミがへばりついていた…。

さらに進むと、今度は“石像”に化けていた2体のガーゴイルが襲いくる。背中の翼で宙を舞いながら、口からはレーザーのような赤い光を放ってくる。デンケンたちも咄嗟(とっさ)の連携で応戦するが、わずかな隙をつかれたレンゲが“隣の小部屋”へと弾き飛ばされてしまう。そこはなんと、トゲ付きの壁が両側から迫るトラップルーム。万事休すかと、レンゲはゼンゼから渡された“小瓶”を割る。瞬時に顕現したゴーレムはその肩にレンゲを担ぐと、壁をぶち破って出口へと走り出した。「もう、一人脱落か…。少しの油断が命取りになるな」。これが〈零落の王墓〉かと、デンケンは口をつぐんだ。

デンケンたち元“第13パーティー”の面々 二次試験開始前には一緒に食事をするなど親睦を深める場面も(画像は第22話より引用)

一方その頃、フェルン、ゼンゼとともにダンジョンへ潜ったフリーレンは順調に“攻略”を進めていた。比較的安全な道を選び取りながら、時折「そこの床。罠だから気をつけて」と的確な指示を飛ばす。かつての魔王討伐の旅路で、彼女は“ダンジョン”というものにかなり精通していた。

ーー今から80年以上前、とあるダンジョンを攻略中の勇者一行が“次の階層”へと続く階段を見つけたときのこと。ヒンメルは先へ進むどころか、「こっちのルートは外れだな。さっきの別れ道まで戻るぞ」とまさかの逆行。自分たちの目的は最深部の魔物ではないのかと尋ねるアイゼンに、「いつになったら学ぶんだ」と頬を膨らませる。そして説く、ダンジョン攻略のなんたるか。「ダンジョンは一つの階層を全て踏破してから次へ進むものだ。冒険者の常識だぞ!」。したり顔のヒンメルを、フリーレンはあきれながら見ていた。

そんな彼女に、ヒンメルはそっと笑ってつぶやいた。「楽しく冒険してダンジョンに潜って、魔物を倒して宝を探して…。気がついたら世界を救っていたような、そんな旅がしたいんだ。それに…」。別れ道の先にあるのは珍しい魔導書かもしれない。ヒンメルにまんまと乗せられたフリーレンは、誰よりも先にもと来た道を戻っていったのだったーー

もと来た道を戻ろうとするヒンメル 彼の言葉はいつもフリーレンの原動力になっている

◆楽しそうだから

ダンジョンの最奥を目指す道中、フリーレンは顎下に手を添えて何やら品定めをしていた。「この魔力…」。目の前にはポツンと置かれた宝箱。その中身を予想する。「魔導書かも」「ミミックです」。フェルンがすかさずツッコんだ。〈ミークハイト(宝箱を判別する魔法)〉の結果は、宝箱に擬態した魔物・ミミック。判別の精度は99%と言われているにもかかわらず、この師は知ってか知らずか「残りの1%を見破った偉大な魔法使い達がいたからこそ、歴史的な発見があったんだ」と満面の笑み。あげく「やっぱり…この中身は貴重な魔導書だよ。私の魔法使いとしての経験がそう告げている」と箱をなで回す始末。ガチャっという“箱らしい音”を最後に、フリーレンの上半身は文字通り牙をむいたミミックの“口内”へと消えた…。

「暗いよー

怖いよー

」。ミミックの“口”からこぼれた下半身が悲鳴に合わせてもぞもぞと動く。ふがいない師にフェルンはひどくあきれながら、“うんとこしょ、どっこいしょ”とその腰を引っ張った。それでもフリーレンは抜けません。「(ついていく人達、間違えたかな…)」。呆然(ぼうぜん)と立ち尽くすゼンゼをよそに今度はバタバタともがく両足を持って引っ張るが、やはりダメ。「…ねぇ、フェルン。一旦、引っ張るのやめよ? ちぎれちゃうから」。“箱”の中でくぐもった声がどこか情けないが、過去に何度も同じ経験をしてきたフリーレンは上手い“やり方”を知っていた。「こういう時はね、逆に押し込むんだよ。ミミックが『オェッ』ってなってかむのやめるから」「…犬か何かなんですか?」

ポンっという軽快な音とともに、フリーレンの上半身がすっぽ抜ける。「ふぅ、助かった…」。どこか満ち足りた顔のフリーレンはミミックの体液でベトベト。フェルンは「まったく…」とぼやきながらも、そのぬめりを優しく拭いていく。フリーレンいわく、“ひとり”でミミックに食べられた時は内側から攻撃魔法で爆破していたようだ。どうりで時々、奇麗なツインテールの髪をチリチリの“縦ロール”にしてくることがあったのかと、フェルンの中で腑(ふ)に落ちた。

フリーレンの面倒を見るフェルンは“まるでママ”とファンから人気だ(画像は第7話より引用)

フリーレンたちはその後も順調(?)にダンジョンの奥へと進んでいく。石像のガーゴイルを動き出す前に倒したり、“どこかの好事家(こうずか)”が集めている小さなメダルを見つけたり、再びミミックからの救出劇に興じたり…。正規のルートを避けてあえて遠回りを選ぶフリーレンは、紛れもなくダンジョンを楽しんでいた。

「あんなもので喜ぶだなんて…」。一行は道中手に入れた魔道具を“愛(め)でる”時間も兼ねて休息をとる。水晶玉に頬ずりするフリーレンを、フェルンはやや遠くから眺めていた。長く時間をともにしてきたが魔道具に対する熱意にはまだ差があった。そんなフェルンに、ふとゼンゼが尋ねる。「なら、なぜ君は魔法の探求を続けているんだ?」。彼女が見たところ、史上最年少で三級魔法使いの資格を取ったフェルンはかなりの逸材。だが、相当な修練を積んだはずにもかかわらず彼女からは情熱も執念も感じないという…。

フェルンが“一人前”を目指したのは、今は亡きハイターへの恩返しのため。当時の人生の目標だった“それ”がかなったとき、きっと情熱も執念も使い果たしたのだろう。だがそれでも、フリーレンとともに“魔法”を追い求める訳が彼女にはあった。「私が初めてダンジョンに潜った時も、フリーレン様はガラクタみたいな魔道具を集めて楽しそうに笑っていました。…釣られて笑ってしまったんです。きっと私は、そんなフリーレン様の姿が好きだから一緒に魔法を追い求めているんだと思います」。そう話すフェルンの口元はいつにも増して優しく見えた。「…やっぱり君たちについてきて正解だったようだ」。ゼンゼも釣られて、笑みをこぼす。「きっと君たちならこの過酷なダンジョンも楽しむことができる」

フリーレンのカバンはいつも“ガラクタ”でいっぱいだ(画像は第12話より引用)

◆原作よりも詳細に描かれた”ミミック”に反響

シリアスな場面も多かった今話で最もファンから注目されたのは、99%=ミミックと分かっていながらも1%の希望に賭けて“宝箱”を開けてしまうお茶目なフリーレン。“原作勢”にとっては待望のこのシーンにSNSは大盛り上がり。「原作よりも詳細に描かれててイイ」「ゼンゼが原作よりドン引きしてて笑う」など期待以上の仕上がりに称賛の声が上がったほか、「お宝が絡むとポンコツになるフリーレンさんに草」「俺は何を見せられているんだ?」と、普段の冷静なフリーレンとのギャップに萌(も)える声が多く寄せられた。

また、多くのファンの間でミミックを巡る様々な議論も白熱。「フリーレンはフェルンに経験値を与えるためにわざとミミックに引っかかっている」と優秀な魔法使いにも関わらず簡単に引っかかってしまう理由を考察する人や、「ミミックの攻撃力が雑魚じゃないとすると、『毎回噛(か)まれに行く』『噛まれても痛さを感じない』という舐(な)めプができるフリーレンが強者すぎる…」「フリーレン様、身体が硬いのか…ミミック、甘噛みしかしないのか…」と、フリーレンの“強さ”に改めて触れる人。中には、「ミミックがフリーレンを喰(く)った、フリーレンがアウラを倒した。つまり、ミミックがアウラより強いってことか」と、かつての強敵を比較に出す人もいた。

ミミックに関しては他にも「スピンオフが書かれるとしたら絶対ミミックが主役だな」と、今後の活躍を期待する声も出ている。ぬいぐるみなどの公式グッズもすでに発売されており、その人気はもはやメイン級と言えるだろう。次回『葬送のフリーレン』第24話「完璧な複製体」は、2月23日(金)「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国 30 局ネット)にて放送予定だ。

以前フリーレンが倒した大魔族「断頭台のアウラ」 相手を意のままに操る恐ろしい魔法を操った(画像は第10話より引用)

©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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