能代大火から75年 地域住民と消防が訓練

能代市の市街地のおよそ4割を焼き尽くした大規模な火災、能代大火から20日で75年です。節目にあわせて、能代市で地域住民と消防による訓練が行われ、延焼を防ぐための対応と日ごろの備えを確認しました。

1949年2月20日。日付が変わってほどなくの午前0時半すぎ、能代市中心部にある木材工場付近から火の手が上がりました。強い風で火は広がり、住宅密集地が7時間余りに渡って燃え、市役所や消防署も焼けました。市街地のおよそ4割が焼失した75年前の能代大火。3人が死亡し、265人がけがをしました。

能代大火は戦後の混乱から立ち上がろうとしていた市民に大きな打撃を与えました。たびたび大火に見舞われ、火事のまちとまで言われた能代市は、区画整備や道路の拡張などを進め「燃えないまちづくり」に取り組んできました。

能代大火を風化させないために。20日は、75年前に火が出た付近で地域住民と消防による訓練が行われました。

倉庫から出火し、強い風によって飛び火。延焼が拡大する恐れがあるという想定です。直接経験した世代が少なくなる中、訓練は能代大火を伝え継ぐ機会にもなっています。延焼を防ぐために消防が用いるのが、水のカーテンをつくり出す水幕ホースです。熱や火の粉を遮り、燃え広がるのを防ぐ役割を担います。

参加した住民の1人、今立貞逸さんは77歳。当時は2歳でした。住んでいた家は燃えてなくなりました。両親から当時の状況を聞かされていたといいます。今立さんは訓練を通じて日ごろの備えの必要性を改めて感じたといいます。

能代市では1956年にも大規模な火災が起きています。当時、そして大火からの復興の歩みに思いをはせながら参加者は防火の誓いを新たにしました。

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