2023年クマに9人が襲われ2人が死亡した北海道内。こうしたなか、環境省が絶滅の恐れがあるとしてレッドリストに載せていたクマの2つの生息地を外す動きがあることが分かりました。一体、どんな影響があるのでしょうか。「自衛隊の門を入ろうとしています。自衛隊員が逃げています」
札幌市東区の住宅街に現れたクマ
3年前、札幌市東区の住宅街に現れたクマ。男女4人が重軽傷を負いました。「牙の跡、ここに穴が開いている。ガブってかじられた」「OSO18」と呼ばれ2023年駆除されたクマ。北海道東部の標茶町や厚岸町で2019年から牧場のウシ60頭以上を襲いました。人の生活とクマとの距離が近づき、被害も増える北海道内。
2023年のクマの目撃件数は2022年にくらべ約2倍
北海道警によりますと、2023年のクマの目撃件数は2022年にくらべ約2倍に増加しました。クマによる被害が相次ぐ中、新たな動きが。「(Q:レッドリストとは?)捕獲数が制限され、数のコントロールで大きな役割を果たしている」(ヒグマの会 金川弘司さん)絶滅の危機がある野生生物を掲載する環境省のレッドリスト。
絶滅の恐れのある地域としてレッドリストにあったが…
石狩西部と天塩・増毛が絶滅の恐れのある地域として載っていましたが外される可能性が出てきました。「(Q:レッドリストから外される可能性は?)仕方がないというか当然だと思う。人に及ぼす害の方が多いので」(金川さん)掲載された約30年前、この2つの地域はクマの行き来がないとされ、クマの孤立地帯とされていました。
クマの個体数が増え行き来が活発に
しかし、いまは全道的にクマの個体数が増え行き来が活発に。札幌市東区で人を襲ったクマは増毛山地から移動したとみられています。なぜ個体数が回復したのでしょうか。北海道は60年ほど前、ヒグマ根絶を目的とした「春グマ駆除制度」を実施。個体数が激減し1990年に廃止されました。
春グマ駆除制度
廃止から30年以上経過し今度は個体数が激増。2023年は9人がクマに襲われ、このうち2人が死亡しました。さらに相次ぐ人身事故を受け政府はクマを「指定管理鳥獣」に指定する方針です。駆除やハンター育成に国の交付金が受けられます。「(クマを)獲ることが本当の意味での自然と共生という考え方もできる」(札幌市ヒグマ防除隊 玉木康雄さん)クマの保護から抑制へと流れは変わりつつあります。