『スナックバス江』のギリギリを攻める大暴れに拍手! 『僕ヤバ』の最高OP展開も

毎週、「ほとんどの作品を観ている」アニメライター・はるのおとによる週刊連載「【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク」。2月12日から2月18日に放送された分から注目の“神回”をピックアップ!(編集部)

『葬送のフリーレン』でフリーレンがミミックに食われかけたり、『範馬刃牙』で範馬勇次郎が息子の物言いに対して「イヤミか貴様ッッ」とキレたりと「インターネットで見たことあるー」なシーンが多かった今週。やはりこういったキャッチーなネタは観ていて和みますよね。

というわけで今週は、一番キャッチーかつギリギリなことをやってくれたギャグアニメの神回から紹介します。

●『スナックバス江』に異世界からジャージ姿の男、彼の名はナツキ・ス……

『スナックバス江』は北海道にある場末のスナックで繰り広げられる悲喜こもごもが綴られるギャグアニメですが、第6話「What A Wonderful World(この素晴らしい異世界生活にようこそ)」は異世界から勇者が来店するエピソードから始まる4本立て。その1本目から『ドラゴンクエスト』パロディ満載でくすぐらせておいて、2本目の「What A Wonderful World(この素晴らしい異世界生活にようこそ)」で大爆発。「ナツキ・ス……」を名乗るジャージを着た男(CV:小林裕介)が現れ、異世界転生あるあるやメタネタなどを畳み掛けまくるすさまじいエピソードでした。

主人公(?)の明美が、『Re:ゼロから始める異世界生活』ではエミリア役の高橋李依さんということ以上にとても耳馴染みのある掛け合いでしたが、それもそのはず『スナックバス江』の監督・芦名みのるさんは『異世界かるてっと』シリーズでも監督などを務める方。さらに脚本協力として『Re:ゼロから始める異世界生活』の原作者である長月達平さん(『バス江』ファンらしい)もクレジットされていました。

この2本目は原作にはないアニメオリジナルのエピソードだそうですが、上記のような縁もあり集英社とKADOKAWAの垣根を超えたコラボができたようです。『バス江』は放送後にアフレコアフタートークという動画が配信されており、高橋さんはこの第6話を「やり過ぎ」と褒めていましたが、せっかくのギャグアニメなんだからこれくらいの大暴れをもう1回くらい観たいものです。

●『ぶっちぎり?!』主人公がMAPPAな作画でついに活躍

『ぶっちぎり?!』は「ヤンキー×千夜一夜物語」という触れ込みで始まったアニメでしたが、これまで「童貞捨てたい」と言い続けながらも特に大きな活躍がなかった主人公の荒仁(あらじん)が、第6話「友情マシマシ!ニラレバリューション21!」で始まった抗争のなかでついに活躍しました。

共倒れになりそうな抗争のなかで漁夫の利を狙う悪役の阿久太郎に対し、立ち向かったのは主人公……ではなくヒロインのまほろちゃん! ここで堂々と啖呵を切るまほろちゃんがすごくかっこいいのですが、そんな彼女が鞭で打たれさらなる暴力にさらされようとしたところで、ようやく荒仁の心が点火。MAPPAらしいものすごい迫力の映像で、阿久太郎に拳を見舞い、フルボッコにしてくれました。タメが長かったのもありますが、今週、一番映像としてシビれたのがここだったという人も多いのでは(『うる星やつら』も相当よかったのですが)。

おそらく女性がメインのターゲットであろう作品で「童貞捨てたい」だけがモチベーションの主人公がどれだけ受け入れられるか、イチ視聴者ながら勝手に不安がりながら観ていた本作。ただ第6話でやっぱりその方向でいくと宣言してくれた感もあり、どこまで突き抜けるのか改めて期待が高まった回でもありました。

●オープニングの始まりがテクニカルで嬉しい『僕の心のヤバイやつ』

最後は小ネタ。先週はバレンタインデーがありましたが、『僕の心のヤバイやつ』は一足先にバレンタインデーの話やったしなあ……と思いきや、この第19話「僕らは溢れ出る」はホワイトデーのダブルデートに参加する市川と山田の話でした。

で、この話のアバン(6分を超えているので長さなのでアバンと言えるのかどうか)で市川が人前でカラオケをすることになるのですが、ここでの選曲がオープニングテーマである「僕は…」。震える声で市川がイントロを歌ったところでオープニングに入ったのがものすごく気持ちよかった! こういうのは近年では『文豪ストレイドッグス』第56話のエンディングなんかも印象的でしたが、毎週アニメを観ているとこうしたちょっとの工夫が嬉しくなるものです。

(文=はるのおと)

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