ニューヨークの最低賃金「約2,400円」だが…「どうにか働く」日本人の悲壮

(※写真はイメージです/PIXTA)

物価上昇により「働く日本人」の現状は深刻さを増しています。最低賃金を中心に、「日本の労働者とお金」の現状について考えていきます。

最低賃金、全国平均「1,004円」だが…

2024年2月現在の最低賃金は、全国平均「1,004円」。OECD(経済協力開発機構)発表の「Real minimum wage(実質最低賃金)」を見ると、日本の最低賃金の水準は先進諸国と比べてはるかに低いことが明らかになっています。

例えばアメリカでは今年1月、50州のうち22州で最低賃金引き上げをおこない、ニューヨーク市などでは16ドル(約2,400円)となりました。さらにこれはあくまで最低賃金であり、米雇用統計によれば、実際には平均時給5,000円を超えることが明らかになっています。

日本でも最低賃金の引き上げが期待される一方、経営者が苦しみ、企業が倒産する可能性を憂う人々もいるのが現状です。

ちなみに都道府県別に見ていくと、東京都が「1,113円」で最も高く、続いて2位が神奈川県で「1,112円」、3位が大阪府で「1,064円」となっています。埼玉県「1,028円」、愛知県「1,027円」、千葉県「1,026円」、京都府「1,008円」と続きますが、平均となる「1,004円」を超えているのは以上の7都府県のみ。

平均以下となった道県を見ていくと、1,000円台となったのは兵庫県「1,001円」のみ。900円台が27道県、800円台は12県となります。全国平均1,004円まで引き上がるとのことですが、各都道府県と平均とのかい離は鮮明です。

全国最低となるのは岩手県「893円」です。最高額である東京都と比較すると、「220円」もの差額が算出されます。8時間労働で換算してみると、1日あたりの差額は「1,760円」にのぼります。

実際のところ、ネットには「余裕で最低賃金以下なんだけど」「全然払ってもらえない」といった悲痛な声が散見されています。地域別最低賃金以上の金額を支払わない場合は、罰則(50万円以下の罰金)が定められていますが(特定産業別最低賃金の場合には、罰則もしくは30万円以下の罰金)、その現状は「悲惨」そのものといえます。

なお厚生労働省ホームページ『必ずチェック最低賃金』には、下記のように記されています。

「最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です」

民間の平均給与「458万円」の悲惨

令和4年時点で日本の雇用者は約5,689万人(役員を除く)。一方、正規職員・従業員は約3588万人、非正規職員・従業員は約2101万人います。

『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和4年)によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は458万円(男性563万円、女性314万円)です。内訳としては、平均給料・手当が386万円(男性472万円、女性270万円)で、平均賞与は72万円(男性92万円、女性44万円)となっています。

「給料を上げてほしい」「上げたくても上げられない」。労働者の悲鳴と雇用者の苦しみ、どちらもすくいあげることは不可能なのでしょうか。物価高の影響も受け、「働く日本人」は過去稀に見るほどの厳しい局面に立たされています。

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