死刑判決の豪作家「上訴せず」 執行猶予付きで「治療を優先」

ヤン・ヘンジュン氏の公判を所管した中国・北京の裁判所=2021年5月(ロイター=共同)

 【シドニー共同】中国の裁判所がスパイ罪で執行猶予2年付きの死刑判決を今月言い渡した中国系オーストラリア人の作家ヤン・ヘンジュン(中国名・楊恒均)氏の支援者は20日、上訴しなかったことを明らかにした。オーストラリアのメディアが報じた。ヤン氏は健康状態が悪化しており、適切な治療を受けることを優先した。

 ヤン氏は腎臓の状態も深刻で、家族や友人は死亡する恐れがあると懸念している。睡眠を妨げられ、医薬品を適切に入手できなかったり、椅子に鎖でつながれたりしているという。

 支援者は、オーストラリアのアルバニージー首相に宛てた公開書簡で「上訴手続きを開始しても、適切な医療行為を受けるのが遅れるだけだ」と説明した。上訴を見送るが「無実であることに変わりはない」として、解放に向けて中国政府に圧力をかけるようオーストラリア政府や同盟国に求めた。

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