液状化被害の住宅支援 富山県が新年度建て替え、改修最大120万円

  ●対象2000件、事業費10億円

 富山県は新年度、能登半島地震で液状化などの被害があった住宅の対策工事を補助する。県の耐震化促進事業のメニューを追加し、罹災証明を受けた住宅の建て替えや改修に関し、1件当たり最大120万円を支援する。約2千件が対象になるとみられ、事業費は少なくとも10億円程度と見積もっており、26日に開会する県議会2月定例会で予算案を追加提案し、4月からの開始を目指す。

 新田八朗知事が20日、県庁で会見し「液状化被害に手を差し伸べられないか、国と市町村で調整を続けてきたのがまとまった」と述べた。液状化の補強に加え、耐震化によって再度災害が発生した場合に備える狙いもある。液状化被害の目立った富山、高岡、射水、氷見4市での活用を想定。財源の負担割合は国が2分の1、県と市町村が各4分の1となる。

  ●市町村の判断で一部損壊も補助

 補助対象となるのは、液状化などによって準半壊(損害割合10%台)以上の被害があった木造住宅。耐震診断で「耐震性なし」との結果が出たことが条件となる。市町村が範囲を特定し、支援が必要と判断した場合は、一部損壊(同10%未満)も同様の支援が受けられる。住宅の着工時期は問わない。

 建て替えの場合は、住宅の下にある液状化層にくいを打ち込む、コンクリートなどで地面を固めるといった基礎補強工事に活用できる。既存住宅を補修する場合は基礎補強工事のほか、土台から上をジャッキで持ち上げる工法などを含めた耐震改修が対象となる。概算費用は80万~800万円程度とみられる。

 新田知事は、県内で発生した1万件以上の住宅被害のうち、準半壊以上が約2千件に上ると指摘。今回の追加支援により、全壊(50%以上)の場合、被災者生活再建支援法や災害救助法などによる支援も活用することで補助額は最大約500万円になるとし「住宅の状況にもよるが、一つのまとまった金額になる」と述べた。

 県は19日に新年度予算案を発表したが、主要施策に液状化対策に関する項目はなかった。新田知事は国と市町村との調整に時間がかかり、新年度予算案の発表に間に合わなかったと説明した。

液状化被害への支援内容を説明する新田知事=富山県庁

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