地域発/神戸アリーナプロジェクト(神戸市中央区)、建設工事が着々

◇ウオーターフロントに新たなランドマーク
神戸市中央区のウオーターフロント地区で計画中の「神戸アリーナプロジェクト」の建設工事が着々と進んでいる。アリーナはS・SRC造7階建て延べ約3万2000平方メートルの規模。突堤の敷地条件を生かし、東・西・南の3方向を水辺に囲まれた、港町・神戸を象徴する施設となる。神戸都心の新たなランドマークとして、関西最大級の約1万人を収容する大規模多目的アリーナが誕生する。
NTT都市開発とスマートバリュー、NTTドコモの3者でつくるコンソーシアムによる再開発で、2023年4月に着工した。設計・施工を大林組、CM(コンストラクションマネジメント)業務を山下PMCが担当している。工事進捗(しんちょく)率は1月末時点で約30%。現在、大屋根などを施工している。25年大阪・関西万博の開催と合わせ、同2月の竣工、同4月の開業を予定する。
建設地は新港第2突堤(新港町130の1ほか、敷地約2万2700平方メートル)。北西隣の第1突堤基部で先行して進めてきた民間再開発の後続事業として、21年に神戸市がNTT都市開発らグループを優先交渉権者に選定した。
施設はアリーナとスタンド観覧席などで構成し、プロバスケットボールBリーグの神戸ストークスの本拠地をはじめスポーツ興行や音楽イベント、MICE(国際的なイベント)の開催などに対応する。施設運営はスマートバリューの子会社One Bright KOBE(ワン・ブライト・コウベ、神戸市中央区、渋谷順社長)が手掛ける。
8日にワン・ブライト・コウベは施設名称を「GLION ARENA KOBE(ジーライオン・アリーナ・コウベ)」と発表。カーディーラー事業などを展開するGLIONグループ(神戸市中央区、菊地秀武社長)がネーミングライツ(命名権)を取得した。
同社は隣接地で先行実施した第1突堤基部の再開発事業に参画。21年に本社を創業地の兵庫県丹波篠山市から同所に移転した。神戸の魅力向上を掲げるアリーナプロジェクトに賛同し、ワン・ブライト・コウベとトップパートナー契約を締結していた。
ワン・ブライト・コウベの渋谷社長は、神戸ストークスの運営会社代表を兼任する。渋谷社長は「年間でチーム公式戦は30~40日、音楽興行が80~100日程度の開催を想定している」と見通し、「現時点で多くの問い合わせがありニーズを把握している」という。
スマートバリューの事業領域を駆使し、最新のデジタル技術を組み合わせることで「民間企業の共創プラットフォームを目指したい」と強調。「プロスポーツや音楽エンターテインメントはわが国の成長産業。アリーナから神戸の街づくりに積極的に参画していく」と意気込みを語った。
このほか国土交通省の「港湾環境整備計画制度(みなと緑地PPP)」の初弾案件として、アリーナ前面に設ける緑地広場「パーク」の計画概要も発表。ワン・ブライト・コウベが神戸市から土地を貸借し、突堤先端に海と山を眺望できる丘を模した建築物(S造2階建て延べ約900平方メートル)を整備する。建築設計は神戸の建築家・畑友洋氏が手掛ける。
渋谷社長によると、年間来場者数はアリーナで100万人、パークを含めて300万人を見込むという。

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