“村神様”、逆襲への第一歩 ヤクルト・村上宗隆が見据える史上4人目の偉業

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別メニュー調整も早期復帰

3月29日の開幕まで、残すところ1カ月とちょっと。プロ野球の春季キャンプも佳境を迎え、ここからは実戦が増えていく。

ヤクルトは21日に楽天と練習試合を実施する。目玉は“復帰戦”となる主砲・村上宗隆だろう。

2年前の三冠王は2月7日に異変を訴えて練習を切り上げ、8日からは別メニュー調整へ。幸いにも軽症だったようだが、髙津臣吾監督は状態の悪化やケガの長期化を避けるべく慎重な調整を命じていた。

16日に屋外の打撃練習を再開することもでき、21日の練習試合には指名打者として出場できる見込みであることが伝えられた。まずは打撃と走塁で様子を見て、守備に就いてようやく復活へ。3月6日・7日に行われる『カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本 vs 欧州代表』のメンバーにも入っているだけに、ここからの歩みに注目が集まる。

“村神様”に待ち受けた不振

2022年、史上最年少となる22歳のシーズンに三冠王を獲得した令和の怪童。その成績は打率.318、本塁打56、打点134だった。

ところが、昨季はまさかの打撃不振に苦しむ。特に4月は月間打率.152と低調で、前年に56発を放った男が5月を迎える時点でわずか2本塁打と極度のスランプに陥ってしまう。

その“予兆”となっていたのが、開幕前に行われたWBCだ。栗山英樹監督は22歳に4番の座を託したが、開幕後も一向に状態は上向かず。戦いの途中で4番の座を吉田正尚に譲った。

その後、アメリカにわたって準決勝のメキシコ戦で劇的な逆転サヨナラ打を放ち、決勝でも豪快な本塁打を叩きこむなど復活をして大会を終えたかに見えたが、日本に帰ってからも苦悩の時間は続いた。

開幕直前の3月に日本の主軸として重圧と戦い続けた疲労は肉体的にも精神的にも計り知れないものがあり、また後のテレビ番組では日本が誇るトッププロやスーパースターとの交流の中で、自分を見失ってしまった部分もあったということも明かされた。

狂った歯車を走り出したシーズン中に修正することは難しく、前年の三冠王がまさかのタイトルなし。“村神様”が流行語大賞を受賞するなど野球界の顔として輝きを放った2022年から一転、もがき苦しんだまま2023年を終えた。

年男が目指す史上4人目の偉業

苦しんだ主砲と重なるように、リーグ連覇中だったチームも一気に5位まで転落。オフの契約更改では4番としての責任も口にした。

そのうえで、個人もチームも逆襲を期す2024年に向けて、用意された色紙に書き記した文字は「三冠王」。自身がしっかりと結果を残すことで、チームも引っ張っていくという覚悟を示している。

日本プロ野球では過去8人が12回達成している三冠王だが、複数回達成したのは過去に3人だけ。唯一3回達成の落合博満(1982・1985・1986)と、王貞治(1973・1974)にランディ・バース(1985・1986)という伝説の大打者の名前が並ぶ。

年男として臨む今季、昇り龍のごとくV字回復で歴史に名を刻むことができるか。まずは21日の再始動を見守りたい。



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