最高峰レース・スーパーGTに待望参戦 茨城・水戸の自動車チーム 兄弟ドライバー、頂点狙う

今季から国内最高峰の自動車レース、スーパーGTに参戦する平木湧也さん(右)と玲次さん兄弟=ひたちなか市佐和

茨城県水戸市を拠点に活動する自動車レーシングチーム「HELM MOTOR SPORTS(ヘルムモータースポーツ)」が2024年シーズンから、国内最高峰の自動車レースであるスーパーGTのGT300クラスに挑む。茨城県内のチームとしては初参戦で、ドライバーは同市出身の平木湧也さん(27)と玲次さん(26)の兄弟。スーパー耐久シリーズ(S耐)などで実績を重ね、満を持して臨む念願の舞台。目指すは優勝と、シリーズチャンピオンだ。

ヘルムは「地域密着型モータースポーツチーム」として20年2月に設立。当時からスーパーGTへの参戦を目標に設定した。コロナ禍でスポンサーを募る活動ができなかったこともあり実現が先延ばしとなっていた。レースでは22年にS耐の24時間耐久で総合優勝、同年には最速のST-Xクラスでシリーズチャンピオンを獲得しており、着実に実績を積み重ねた。

スーパーGTは2クラスで計45台が出走する。チームの撤退などで空きができないと参戦がかなわない。ヘルムは2年前から参戦申請をしていた。昨年新規枠ができ、チャンピオン獲得といった実績を持つ5チームほどの中から運営側が選んだのがヘルムだった。

湧也さんは「運が重なった。新しい世代に今後を任せる動きが業界にあった」と振り返る。レースの実績はもちろん、チームは自分たちで全て運営を完結させている。「スポンサー活動をし、メカニックを雇い、マネジメントする数少ないチーム。交通安全教室や地元の催しでレース業界を発展させる活動をしていることも認められた」

使用する車両は日産GT-RニスモGT3。S耐で2シーズンを共にし、熟知したマシンだ。「車体が大きいのでストレートが早く加速が良い。パフォーマンスは高い」と湧也さん。狙うのは優勝で、常に上位にいることでシリーズチャンピオンも見据える。

チームは理論派の湧也さんと感覚派の玲次さんに、日産から派遣されるベテランの平手晃平選手が加わる。GT500でシリーズチャンピオン、GT300で数度の優勝経験もある心強い味方。湧也さんは「知識や経験をヘルムに落とし込みたい日産の戦略。期待も高く応援してもらっている」と気を引き締める。

4月開幕のシーズンは、富士や鈴鹿などで全8戦を行う。モビリティリゾートもてぎ(栃木)が最終戦。チームはチャンピオン争いを地元に近いサーキットで演じる覚悟だ。湧也さんは「茨城の人々に応援してもらえるような結果、内容にしていきたい」、玲次さんは「早いGT-Rと強いヘルムを見せられるように開幕戦から頑張っていきたい」と意気込みを語った。

© 株式会社茨城新聞社