アプリビジネスにおける広告戦略 〜効果計測の重要性とテレビCMが果たす役割とは~(後編)ビデオリサーチ×Adjust担当者インタビュー / Screens

ビデオリサーチ主催のウェビナー「アプリビジネスにおける広告戦略~効果計測の重要性とテレビCMが果たす役割とは~」が2023年12月14日に開催。アプリビジネスにおけるテレビCMの効果と役割に焦点を当て、adjust株式会社 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀氏と、株式会社ビデオリサーチ 統括・ソリューションユニット ビジネスソリューショングループ 正岡友希氏がプレゼンした。

本記事では、後編にわたってこの模様をレポート。後編となる今回は、Adjust佐々氏とビデオリサーチ正岡氏、同社ビジネスソリューショングループマネージャー・鈴木康啓氏にインタビュー。テレビCM計測サービス開発に至った背景に触れながら、両社がテレビCMに見出す強みなどについて伺った。

アプリビジネスにおける広告戦略 〜効果計測の重要性とテレビCMが果たす役割とは~(前編)ビデオリサーチ×Adjustウェビナーレポート

■“認知の壁越え”と“休眠復帰”に強み「見た人が行動を起こしやすい」テレビCMの力

──今回のウェビナーでは2014年から2023年にかけて約10年間にわたる生活者のモバイルアプリ利用実態をデータで振り返りました。改めて、このデータから見えてきたトレンドについてお聞かせいただけますでしょうか。

正岡氏:これまで若い方々が利用するイメージの強かったアプリですが、端末の浸透によって、これまで以上の年齢層の方々も利用するようになったことがデータの面でも現れるようになりました。

佐々氏:利用端末数の増加にともない、アプリの起動数が増え続けています。競争が激しくなる中、ユーザーが一定のアプリに定着しはじめ、新規参入の壁が上がってきている面も感じますが、最初の認知の壁さえ突破できれば、いまからでも十分にユーザーを増やすことは可能でしょう。

adjust株式会社 佐々直紀氏

正岡氏:特に注目すべき点は、日頃からテレビに親しむ層の方々がアプリを使いだしているということです。テレビCMでゲームアプリなどの存在を知って「面白そう」とインストールしてみるという流れが広がっています。

──アプリの認知手段として、テレビCMが大きな役割を果たしているのですね。

正岡氏:ビデオリサーチが生活者向けに行っている調査でも、アプリの情報を得る手段として「テレビCM」が多く挙がっています。ターゲットを絞らずにさまざまな属性の方々に対するリーチを得られるという意味で、テレビが持つ力は非常に大きいと思います。何より、認知からインストールという実行動に移りやすいという点は見逃せないポイントです。

株式会社ビデオリサーチ 正岡友希氏

佐々氏:テレビの場合は家族みんなで同じ画面を見ることも多く、一度にさまざまな層の方々へ認知できるのが特長です。特に大画面で流れるので印象に残りやすく、他の媒体ではなかなか出せないパワーを持っています。

ウェビナーでも触れましたが、最近はスマートフォン片手に視聴されるケースが多く、テレビで気になったらすぐにアクションを起こしやすい、というのも非常に好条件です。デジタル広告で一度接触したターゲットに対するリテンションの役割など、他の媒体での広告に対するアシスト効果も高く、コストパフォーマンスの面から見てもテレビCMは外せない媒体と言えるでしょう。

──ウェビナーで事例として取り上げられたゲームアプリ「にゃんこ大戦争」(ポノス)のように、年末年始にかけて大量放映されるケースも見受けられます。こうした出稿による“刷り込み効果”もまたテレビCMの特長と言えるでしょうか。

佐々氏:一度はアプリをインストールしたものの、起動しないまま放置されているというケースも珍しくありません。こうした状況においてテレビCMを見ることでアプリの存在を思い出し、再び起動につながるという効果は大きいでしょう。新規ユーザー獲得に加え、休眠ユーザーの復帰においてテレビCMは大きな役割を果たしていると思います。

■出稿〜効果測定まで“1枠単位”でPDCAが可能、テレビCM施策「はじめの一歩」に

──Adjust社のテレビCM計測サービスにおいて、ビデオリサーチ社のCM枠データとはどのように活用されているのでしょうか?

正岡氏:Adjust社との取り組みでは、ビデオリサーチのCM時点データ(出稿時点、放送局、番組など)を利用していますが、クライアント様のご希望があれば、CM出稿時点の獲得GRP(延べ視聴率)も別途ご提供しています。

株式会社ビデオリサーチ 鈴木康啓氏

鈴木氏:ビデオリサーチでは、民放各局のスポット枠を束ね、1本から小口でCM枠を購入できるサービス「枠ファインダ」をご提供しています。計測サービスと組み合わせることによって、出稿先の番組ごとにどのくらいインストールがあったか、インストールされたアプリがどのくらいのLTV(Life Time Value:ユーザー利用期間)を持っているかを比較でき、質の高いユーザーを含んだ番組や出稿枠を絞り込むことが可能です。

──枠レベルでの効果検証から実際の出稿まで、一連のPDCAをワンプラットフォームで行えるのですね。

佐々氏:弊社のテレビCM計測サービスは、放映地域やクリエイティブごとに効果の違い、さらに1ヶ月後の利用継続率までをトータルで確認できることが大きな特長です。ランディングページを介したWEBキャンペーンではユーザーのニーズへ到達するまでに離脱が生じてしまうケースもありますが、リーチ力と浸透力の極めて高いテレビCMを活用することによって、訴求の勝ちパターンを見つけやすいというメリットがあります。

鈴木氏:「枠ファインダ」では枠ごとの価格を見ることができますので、「まずは500万円分」など、ご予算の範囲内でご購入いただいてその結果を分析し、より効果の高い出稿へとつなげていただくことが可能です。

佐々氏:特にアニメなどIP(知財)コンテンツとコラボしたキャンペーンの場合、これらの素材をクリエイティブに用いることで一気に高い訴求が期待できます。こうした効果を検証する上でもテレビCMのメリットは非常に大きいと言えます。

──テレビCM出稿に関する実績がないため効果を検証する目安がない……という循環で出稿になかなか踏み切れないというケースも多いと思います。こうした企業のみなさんに向けて、Adjust「テレビCM計測サービス」✕ビデオリサーチ「枠ファインダ」の組み合わせは「はじめの一歩」を踏み出すためのきっかけにつながりそうですね。

正岡氏:「どんな層にアピールすべきかよくわからない」というクライアント様も、Adjust社の「テレビCM計測サービス」とビデオリサーチの「枠ファインダ」を使うことで、自社のアプリが“もっとも刺さる層”を見極めることが可能です。CM枠は1枠から購入が可能ですので、普段はテレビCM出稿を行っていないクライアントのみなさまにも気軽にお試しいただくことができます。

佐々氏:たとえキャンペーンそのものの結果が芳しくなかったとしても、その中身を分解すると良し悪しが混在するので、次回の成功につながる具体的な改善ポイントを把握でき、より確度の高い一手につなげることが可能です。社内に対する説得材料を集める手段としても、ぜひAdjustの計測サービスを活用いただければと思います。

■「“当たらなかった層”も獲得」Adjust×ビデオリサーチが引き出すテレビCMの価値

──最後に読者のみなさまへ向けて、今後に向けた意気込みをお聞かせください。

佐々氏:デジタルでカバーしきれない広い層に向けて強力にアプリを認知し、強い動機づけを行えるテレビCMはプロモーションの手段として非常に重要です。昨今は地上波のみならずコネクテッドTVなどデジタルの領域にもまたがっており、効率的なアプローチが行える点も見逃せません。普段デジタル広告に力を入れている企業様にこそ「いままで当たらなかったユーザー層を獲得できる手段」としてぜひ活用いただきたいと思います。

鈴木氏:テレビCMの広告効果を可視化し、クライアント様のビジネス拡大へ貢献させていただくことが、今回のAdjust社とビデオリサーチがタッグを組んでお届けしていく価値であると考えています。

正岡氏:ビデオリサーチの「枠ファインダ」でテレビCM出稿を1枠単位からお試しいただき、その効果をadjust「テレビCM計測サービス」で追跡していただくことで、テレビCMを含めた広告戦略の知見を蓄積していただくことができます。テレビCMを出稿することにハードルを高く感じられている企業様にとって、ファーストステップとなるきっかけをご提供できたら幸いです。

佐々氏:Adjust社とビデオリサーチの仕組みを活用いただければ、比較的リーズナブルな費用でテレビCMをお試しいただけます。効果測定についても、弊社が配布する「Adjust SDK」を使用すれば、導入から実装、テストまで1ヶ月程度と短期間でアプリへの流入を計測する仕組みが作れます。

繰り返しになりますが、テレビCM経由でのインストールユーザーはインストール後の利用継続率が極めて高く、他のチャンネルと比較しても非常に効率の良いアプローチ手段です。企業様にとって、今年はさまざまな媒体、チャネルをどう使いこなすかが今年の大きなテーマになると思いますが、そういった意味でもぜひ、Adjust「テレビCM計測サービス」とビデオリサーチ「枠ファインダ」を選択肢に加えていただけたら幸いです。

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