【ブギウギ】「生き方でわかってもらうしかない」…歌手に役者に母親、“パンク寸前”のスズ子の心に響いた、タナケンの言葉

芸は「生き方でわかってもらうしかない」とスズ子(趣里)に語りかけるタナケン(生瀬勝久) (C)NHK

放送中の『ブギウギ』(NHK総合)第21週「あなたが笑えば、私も笑う」では、スズ子(趣里)が時代劇映画『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』の撮影を行いながら、撮影所に同行させている、いたずら盛りの愛子(小野美音)からも目が離せず、「仕事と子育ての両立」が困難を極めている。

ある日、愛子が楽屋で転んで頭にケガをして、スズ子は肝を冷やす。さらにそのせいで撮影が2日間ストップしてしまい、スズ子は主演で座長のタナケン(生瀬勝久)に平謝りする。タナケンは「子供がしたことだ。仕方がないさ」と言いながらも、「ただ、撮影が1日伸びると、そのぶん現場の負担が増える。その皺寄せが作品の質を下げてしまうかもしれない。観客は君が母親かどうかなんて知ったこっちゃないんだ」「つまらんものを見せたら最後、そっぽを向かれて仕舞いだよ」と、ズシリと重い言葉をスズ子に向けた。

「撮影が1日伸びると、そのぶん現場の負担が増える」と、厳しい現実を静かに伝えるタナケン (C)NHK

しかし本日2月21日放送の99話では、自分では一生懸命やっているつもりでも、結局歌手も役者も中途半端になってしまっているのではないかと落ち込むスズ子に、タナケンが思わぬ言葉をかけた。

「続けるしかない。邪魔されようが誤解されようが、芸で伝えるしかない。生き方でわかってもらうしかないんだよ。歌手も役者も。それは母親も同じかもしれないよ。君の精一杯の姿、彼女(愛子)には伝わってるかもしれないよ」

舞台の上で、カメラの前で、人一倍「生き方」と「芸」を伝えてきたタナケンの言葉だからこそ、とてつもない説得力がある。タナケンがこの助言をスズ子に贈った理由について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

“裏設定”では「妻役は福来スズ子しかいないだろう」とタナケンが強く推薦

「子育てをしながら歌って、さらには映画に出演して……というなかで、やはりスズ子は揺らぐし、迷うんですね。そこで、タナケンというゆるぎのない存在がスズ子にかけた言葉が、とても大きな意味を持ってくる。タナケンは、日本一の喜劇役者としてずっと『芸』そして『結果』で勝負してきた人。初共演の舞台『舞台よ!踊れ!』以来ずっと、スズ子との信頼関係があって、スズ子のことをよく見ているタナケンだけに、ここで彼女に助言を贈るのにぴったりな人物ですし、本当にいい言葉だなと思いました。ちなみに、スタッフ間で共有している“裏設定”としては、映画『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』の制作が決まった時点で、タナケンが『妻役は福来スズ子しかいないだろう』とスズ子を相手役に強く推したということになっています。それだけスズ子の才能を認めているんですよね」

今ではとても真似できないぐらい斬新だった、昭和20年代の時代劇コメディ

また、99話で『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』の1シーンで、時代劇にも関わらず「恋はやさし野辺の花よ」の替え歌でいきなりミュージカル調に変わる愉快な一幕があった。これについて福岡さんは、

「エノケンさんと笠置シヅ子さんが共演された映画を参考にさせていただいたのですが、そこでお2人が、時代劇の中で当時の新しい歌を歌われていまして。むしろ今の僕らには真似できないような、時代劇と当時の『現代』の感覚をミックスした、大胆で面白い試みをされていたので、そこから影響を受けました」

と明かした。タナケンの言葉に背中を押されて、さらに歌への情熱を燃やしたスズ子は羽鳥(草彅剛)のところへ赴いて、「ブギで勝負したいんです」と新曲をリクエストした。歌い続けるしかない。そう確信したスズ子は、また新しいブギに挑む。

楽しいミュージカルシーンも登場する映画『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』 (C)NHK

◇ ◇

『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)

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(まいどなニュース特約・佐野 華英)

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