全国高校文芸コンクール、上野丘高の吉野さん最優秀賞 配列計算し詩を枠にはめる【大分県】

文芸部の副部長を務める吉野あこさん。受賞作の掲載誌を手に「詩を基盤に短歌や俳句、小説にも挑戦したい」=大分市の大分上野丘高
吉野あこさんの受賞作

 【大分】大分市の大分上野丘高2年の吉野あこさん(17)=豊後大野市三重町=が、本年度の「全国高校文芸コンクール」(全国高校文化連盟など主催)の詩部門で最優秀賞に輝いた。「自分のために書いた詩が、誰かに影響を与え得ることに驚いたし、とてもうれしい。創作活動を支えてくださる周囲の方々に心から感謝します」と喜びを語った。

 受賞作「枠」は通学列車での日常を題材にした叙情詩。車両内の閉鎖された空間に人々が密集している光景を異様に感じ、自由とは何かを考えたという。

 「社会のルールや義務教育制度という枠にとらわれることで物事が成り立っている側面もある」。そんな気付きを言葉にし、思考を巡らせた。文字数や配列を計算し、枠にはめるという手法で視覚にも訴えた。

 審査では「詩の形式や自分、社会といったあらゆる枠を超えようとしたチャレンジ精神と新型コロナウイルス禍を生き抜くわれわれの肌感覚を見事に表現した作品」と評価された。

 コンクールは小説や短歌など7部門。詩には1280編の応募があり、都道府県の選考を経て756編が全国大会に進んだ。表彰式は昨年12月に東京都であった。

 幼い頃から文学に親しみ、三重中時代は中原中也や立原道造、吉野弘の詩に癒やされ、支えられた。詩作を始めたのは高校1年で文芸部に入ってから。副部長として、部誌の編集にも取り組む。

 答えのない問題について考えるのが好き。声に出して伝えようとしても、うまく伝えられない思いを詩にすることで消化してきた。

 「詩は自分以外の人にも読まれてこそ、さらに輝くのだと改めて実感しました。この先もずっと、大好きな詩を書き続けていこうと思います」

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