雫石町鶯宿の老舗温泉旅館・長栄館(資本金4千万円、照井久美子社長)は20日、盛岡地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人の管理下で営業を継続し、6月をめどに譲渡先の企業を探す。競争激化や新型コロナウイルス禍で経営が悪化した。負債総額は28億7401万円で、債権者数は120人。譲渡先が見つかるかは現時点で見通せない。
同日に代理人が破産手続きを申し立てた。選任された破産管財人の太田秀栄弁護士(岩手弁護士会)が財産を管理するほか、地裁から事業継続の許可を得て一時的に運営を担う。外国籍を含む従業員21人は解雇せず、当面は通常通り営業する。
今後は破産管財人と代理人が協力して事業を承継するスポンサー企業を探す。代理人によると、現時点で手を挙げている企業はないが「複数の打診先がある」と説明する。