もっとも詐欺に利用されやすい投資は「FX」…認知度の高さ・始めやすさが要因か。調査からみえた〈警戒すべき手口〉とは?

(※写真はイメージです/PIXTA)

テクニカル分析専門サイト『テクニカルブック』は、投資詐欺の手口について調査する目的で、過去1年間に投資詐欺と接触経験のある20歳以上の男女337名を対象にアンケートを行いました。本調査からは、昨今の投資詐欺がどのように行われているのかがみえてきました。

調査サマリー

今回の調査結果に関する概要は以下の通りです。

・投資詐欺は「高利回りな投資話」を持ちかけられるケースが最も多く55.2%、2位は「学習教材/ツールの販売」で51.0%、3位は「マルチ商法」で42.1%

・投資詐欺の多い投資はFXで31.8%、2位は不動産で27.0%、3位は暗号資産で26.7%

・メール/SNS/Webサイトなど、インターネットを使った投資詐欺が多い傾向

・投資詐欺の想定被害金額は「50万円~100万円未満」が15.1%、「10万円~50万円未満」が13.9%と多い

調査の実施概要

調査機関 :自社調査
調査方法 :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:日本全国
対象者 :過去1年間に投資詐欺と接触経験のある20歳以上の男女
調査期間 :2023年11月1日~11月4日
有効回答 :337名

主な調査結果

以下、主な調査結果を具体的な数値とともに紹介していきます。

1.投資詐欺は「高利回りな投資話」を持ちかけられるケースが55.2%で最多

過去1年間に接触した投資詐欺のタイプについて質問したところ、最も多かったのが「高利回りな投資話」の55.2%で、これに「学習教材/ツールの販売」の51.0%、「マルチ商法」の42.1%が続く結果となりました。

回答では複数のタイプを選択した人が多く、複数回投資詐欺に接触している人や、複数の要素が絡む複合的な投資詐欺が多いと考えられます。

また、「高利回りの投資話」が多いことからは、儲けたいという投資家の心理を利用していることがわかります。“ウマい話”を持ちかけたら「それなら誰でも投資で儲けられるはず」と、警戒感を持つことが、非常に大事といえるでしょう。

2.投資詐欺の多い投資はFXで31.8%、2位は不動産で27.0%、3位は暗号資産で26.7%

投資詐欺に利用されている投資について質問したところ、「FX」が31.8%と最も多く、次いで「不動産」の27.0%、「暗号資産」の26.7%という結果となりました。FXは認知度が高く簡単に始めやすいため、詐欺に利用されやすいところがあるのかもしれません。

なお、独自に行った別の調査では、「上場株式」や「投資信託」に取り組む人が非常に多いという結果が出ています。しかし、これらが投資詐欺に利用されるケースはそれほど多くないようです。この背景には、株式や投資信託の市場が、長い歴史を通じて安全性と透明性が高いレベルで確立していることがあると考えられます。

3.メール/SNS/Webサイトなど、インターネットを使った投資詐欺が多い傾向

投資詐欺と接触した形について質問したところ、最も多かったのは「メール」で31.2%、続いて「SNS」の29.4%、「Webサイト」の28.2%でした。この結果からは、インターネットを介して投資詐欺と接触しているケースが多いことがうかがえます。

ただし、「電話」も27.3%と上位に入ってきており、投資詐欺では電話勧誘というアナログな手法が取られることも依然としてあるようです。

【参考情報】投資詐欺との接点(年齢別)

次のグラフは、投資詐欺と接触した形について年齢別に集計したものです。

40代以上に関しては、投資詐欺と接点を持つのが「メール」または「電話」が多いことがわかります。特に50代と60代ではこの2つが非常に高い割合となっており、年齢の高い人ほどメールや電話による詐欺には、警戒したほうが良さそうです。

30代は「SNS」が39.5%と突出した割合となっているのと同時に、「マッチングアプリ」や「セミナー」も他世代と比較して高い割合となっています。このことからは、30代には他の人とつながりを持とうとする中で、投資詐欺に接触するケースが多い傾向があります。

4.投資詐欺の想定被害金額は「50万円~100万円未満」が15.1%、「10万円~50万円未満」が13.9%と多い

接触した投資詐欺に巻き込まれた場合の想定被害金額について質問したところ、最も高い割合は「被害を受けることはない」の22.7%でした。投資詐欺と接触したとしても、自分は引っかからないという自信を持った人が多いようです。

なお、金額を回答した人の中で最も多かったのは「50万円~100万円未満」で16.5%、続いて「10万円~50万円未満」で15.2%、「100万円~300万円未満」で12.3%という結果となりました。「10万円未満」の少額被害よりも、一定規模の被害を受ける可能性が高いことがわかります。

「50万円~100万円未満」は決して小さい金額ではありませんが、手が出せないことはない水準と考えられます。極端な高額を狙うのではなく、手が出せる範囲内でできるだけ大きな金額を出させようとする投資詐欺が多いのかもしれません。

【参考情報】投資詐欺の想定被害金額(詐欺タイプ別/年齢別)

次のグラフでは、想定被害金額を詐欺タイプ別に集計しました。

4つの詐欺タイプいずれについても、10万円~300万円未満が最も高く、全体的な傾向はほぼ同じといえるでしょう。

細かく見てみると、「学習教材/ツールの販売」については10万円未満が他よりも高い傾向となっており、100万円~300万円未満ともほぼ同水準です。学習教材/ツールといったものに関しては、最初は入口として低い金額のものを販売するケースも多いことが考えられます。

また、「高利回りな投資話」については、50~100万円未満が高い割合となっており、一定規模の金額の投資を持ちかけてくるケースが多いようです。同時に「被害を受けることはない」と回答している人が他のタイプと比較して最も少なく、警戒する必要性が非常に高い投資詐欺といえるでしょう。

次に、年齢別で集計したグラフです。

最も年齢による違いが表れたのが「被害を受けることはない」で、上の世代ほど割合が明確に高くなっています。20代では10.9%ですが、世代が上がるとともに割合は上昇し、60代以上では50.0%という結果でした。

昨今のニュースでは高齢者の詐欺被害の多さから、上の世代の人ほど騙されやすいイメージもあります。しかし、この結果を踏まえると、上の世代になるほど投資詐欺に対する警戒心が高く、自己防衛ができているのかもしれません。

“ウマい話”に巻き込まれる人を減らすために

今回の調査結果をまとめると以下の通りです。

・投資詐欺では、「高利回りな投資話」を持ちかけてくる手口が最も多く見られる

・過去1年間の投資詐欺で最も利用されているのは「FX」で、「不動産」と「暗号資産」がこれに続く

・投資詐欺は「メール/SNS/Webサイト」といったインターネットを利用したものが中心だが、依然として「電話」による勧誘も見られる

・投資詐欺に巻き込まれた場合の被害金額は、「50万円~100万円未満」の規模になることが多いと推測される

この結果からは、昨今の投資詐欺がどのような形で行われているのかが見えてきます。こういった“ウマい話”に巻き込まれる人を減らすためにも、社会全体で金融リテラシーの水準を高めていくことが大切といえるでしょう。

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