「なぜ病院によって薬の値段がちがうの?」気になっていたけど聞けなかった…猫についての疑問を解決!【獣医師が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

猫と暮らしていると、病院に連れて行く機会もあると思います。そのとき、薬の値段が病院によってちがうことに疑問を持ったことはありませんか? なぜ病院によって薬の値段が違うのかについて、著書『獣医さん、聞きづらい「猫」のことぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より、宮下ひろこ氏が解説します。

動物の体に合わせた調剤技術料が入る

動物病院によって薬の値段がちがうのは、薬剤を購入する取引先によって納入価格が異なるからです。基本的に仕入れ値を参考に自由に設定されています。

医療費と同じように保険が効かないため、薬自体の値段も人間用より高くなります。ひと月に2万、3万円とかかる薬もあり、飲み続けなければならない場合、それなりの金額になるケースもあります。

薬も治療費同様に自由診療の範疇ですが、薬代で利益を出そうとする動物病院は少ないので、病院によって大きなちがいはないでしょう。

薬そのものの値段だけでなく、最近では人間の場合と同じように調剤技術料を加算する動物病院もあります。

動物の体重によって、例えば子猫には量を少なく、薬を小さく割って分包する必要があります。猫への投薬は難しいと感じる人も多いので、形状(粉末、シロップ、カプセルなど)を飲ませやすいように変えて出す場合もあり、その際にかかる費用が上乗せされていることもあります。

分包の必要がなくシートのまま出す場合は、安いこともありますが、せいぜい数百円、数十円といった単位です。

それでも負担を感じる場合は錠剤をカットしたり、粉末にしたり、カプセルに詰めたりというのは、市販のピルカッターやピルクラッシャー、カプセルなどを活用すれば飼い主自身でできることもあるので、その分、調剤量を安くしてもらえないか相談してみてもよいでしょう。

ただ、繊細な量の調整が必要な場合や病院の方針によってはNGというところもあるかもしれません。

市販薬を使う場合は必ず獣医師に確認

人間用の市販薬には同じ名前や似た効能をもつ製品もありますが、同じように見えても容量がちがうこともあるので、必ずかかりつけの獣医師に実物を見せて相談しましょう。

ドラッグストアで気軽に購入できる外用薬(点眼薬や皮膚用塗り薬など)も、名称や効能が一見同じで使いたくなる気持ちもわかりますが、念のために獣医師に確認してください。

人間用の薬はバリエーションが多く、濃度が薄いものから濃いものまであるので注意が必要です。万が一、濃度の高い薬を与えてしまうと、体の小さい動物たちにとっては命取りです。薬の扱いは自己判断せず十分に気をつけてくださいね。

値段の話とは変わりますが、処方された薬の名前はぜひ確認し、記録をしてください。不測の事態でいつもとちがう病院へ行かなければならなくなった場合、飲んでいる薬の情報は初診の場合でも治療や処置にとても役立ちます。

【この記事のポイント】
保険が効かない動物病院の薬は高め 人間用の薬の使用は獣医師の確認を

宮下 ひろこ

獣医師/動物病院専任カウンセラー

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