若山牧水青春短歌で大賞 茨城・下館二高の青木志織さん 鋭い感性、素直に表現

若山牧水青春短歌大賞の青春短歌大賞を受賞した青木志織さん=筑西市岡芹

宮崎県延岡市で少年期を過ごした歌人、若山牧水をたたえる「第24回若山牧水青春短歌大賞」の高校生部門で、茨城県立下館二高3年の青木志織(あおきしおり)さん(18)が最高賞の「青春短歌大賞」に輝いた。

受賞作は「身の丈に合わぬプライド飼い慣らし生きづらさすらもアイデンティティ」。感性鋭く、自己の内面を三十一文字に映し出した。「自尊心という壁を持つせいで、生きづらさを感じている。だけど、それを個性と捉えて生きたい」と思いを込めた。

同部門には全国から4403首の応募があった。その中で、審査員たちに「アイデンティティと言い切る強さに共感した」「下句の達観は、さすが高校生」と言わしめた。

着想を得たのは、国語の教科書で読んだ「山月記」。主人公が詩人の夢に破れて虎になってしまう変身譚(たん)で「高校の授業で一番心に残っている」と言う。

昨年2月、文芸部に入部し、短歌にのめり込んだ。同部の外部講師、為我井節さん(75)から指導を受けながら「自分の気持ちを素直に書き、ずばっと言い切る作風になった」と振り返る。

昨夏には、高校生が短歌の腕前を競う全国高校生短歌大会(通称・短歌甲子園)に出場。個人戦で決勝リーグまで勝ち進んだ。

強みは「語彙(ごい)力」(松山弘恵同部顧問)。その源泉は読書にあり、図書委員長も務める。「興味あるものを雑多に読む。新書は事実を淡々と書いているものが多く、タイトルの『圧』が強いところが好き」と笑う。

短歌の魅力について「三十一文字の短さでも、ちゃんと思いが伝わる。文字の可能性を感じます」。

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