軽い気持ちで「家族の定期券」を使ったら「50万円」請求される!? 定期券の「不正利用」がバレた場合の代償について解説

ほとんどの定期券は「記名式」のため他人が使ってはいけない

日本の鉄道会社やバス会社が発行する定期券のほとんどは「記名式」です。定期券の券面に氏名を記入し、記名された本人のみが使えます。したがって、この記名式定期券は家族や知人であっても、使うことは不正乗車に該当します。

持参人式定期券なら貸し借りしてもよい

持参した人が使える持参人式定期券であれば、家族や知人が使っても問題ありません。東京都の都営バスや横浜市の市営バスなどが採用しています。

ただし持参人式を採用している会社でも、「通学定期券やシニア割適用の定期券」「記名式PASMOやSuicaにIC定期券を入れた場合」など、条件によっては記名式定期券として扱われるものもあるので注意しましょう。

定期券の貸し借りが発覚した時の代償は50万円以上?

もしも、他人の定期券を貸し借りして不正利用したことがバレたらどうなるのでしょうか。「謝って正規の料金を払えば許してもらえる」という考えは大きな間違いです。もしかしたら、人生を変えるくらい大きな代償を払うことになるかもしれません。ここからは、以下の不正利用がバレた場合を考えてみましょう。

__●定期券は大宮から横浜の6ヶ月通勤定期で金額は13万7660円
●大宮から横浜の通常運賃は片道950円、往復1900円
●定期開始から90日目で不正乗車が発覚__

定期券はその場で没収

まず、不正に利用した定期券はその場で没収される可能性があります。例えば東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の旅客営業規則第168条には「定期乗車券をその記名人以外の者が使用したとき」は「定期乗車券は、(中略)無効として回収する」と定めています。

このケースでは有効期間6ヶ月のうちの約半分しか使っていない状態です。7万円近くの価値がある定期券を失うことになります。

定期券使用開始日から発覚日までの3倍の割増運賃が請求される

さらに割増運賃を請求される可能性があります。JR東日本の旅客営業規則第265条には、その定期券の効力が発生した日から無効の事実を発見した当日まで、券面に表示された区間を「毎日1往復ずつ乗車したものとして計算した普通旅客運賃とその2倍に相当する額の増運賃をあわせて収受する」とあります。

簡単にいうと、「定期券開始日から発覚日までの日数×定期券面に書かれた区間の往復運賃×3倍」が請求されるということです。このケースに当てはめると、「90日×往復運賃1900円×3倍」で51万3000円の支払いを求められる可能性があります。

刑事罰や社会的制裁を受ける可能性もある

鉄道会社が被害届を出した場合、電子計算機使用詐欺罪・詐欺罪など、刑事罰を受ける可能性もあります。

さらに、職場や学校に知られることで、失職や退学につながることも可能性がゼロとはいい切れません。定期券の貸し借りは立派な犯罪であることを、しっかり認識しておきましょう。

不正乗車の代償は大きい! 定期券は正しく使おう!

他人の定期券を使うことは不正乗車であり立派な犯罪です。

「どうせバレないから、電車賃を浮かそう」「バレたら正しい料金を支払えばいいや」と軽く考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、たった数千円を浮かすための不正乗車でも、発覚した時の代償は決して軽くありません。定期の貸し借りが不正乗車であることを理解し、定期券は正しく使いましょう。

出典

東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則

執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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