野木町で散歩中の男性が「イノシシ」に手や足をかまれけが 街中のイノシシの現状は

 栃木県内でイノシシの目撃情報が相次ぐ中、18日に野木町で散歩中の男性が手や足をかまれてけがをするなどの被害が出ました。

 イノシシは、かつて県の東部の八溝地区に生息していましたが、現在では県内ほぼ全域に広がっています。

 18日、野木町で通行人から「イノシシの近くで人が倒れている」と警察に通報がありました。倒れていたのは近くを散歩していた70代の男性で、後ろから来たイノシシに右手と右足をかまれるけがをしました。

 隣り合う茨城県古河市と野木町。

 まず18日の午前9時過ぎ、古河市の中心部でイノシシの目撃情報が相次ぎました。

 通報を受けた警察官が午前9時30分ごろJR古河駅の近くでイノシシを発見しますが、イノシシは自転車に乗っていた70代の女性に正面からぶつかりそのまま逃走。

 女性は転倒し、右足を打撲するなどのけがをしました。午前9時50分ごろイノシシは古河市の北側にある野木町の中心部で目撃されます。

 そしてイノシシは、散歩中の70代の男性の手と足を噛み近くの畑に逃げていきました。

 かつて、県内のイノシシの生息地は県の東部の八溝地区でしたが、1990年代から南西部の地域でも新たに生息が確認されるようになり、現在では県内ほぼ全域に分布が広がりつつあります。

 野木町に近い渡良瀬遊水地では2009年頃からイノシシが目撃されていました。

 その後、2015年に発生した関東・東北豪雨では川の上流から流れ着いたイノシシが県の南部の渡良瀬川の流域に住みつき繁殖したと見られています。また、このところ増えているのが市街地での目撃情報で去年の秋には、宇都宮市の中心部でイノシシが連日、目撃されました。

 この日は、実際に野生鳥獣の対応に当たる市や町の職員などを対象にした研修が行われました。イノシシが市街地に出没するのは移動ルートが近くにある場合や果実やドングリが食べられる場所があるといった場合ですが、万が一、遭遇したとき、どのような装備があれば安心かどのような場所に誘導したらいいかを学んでいきます。

 県は新年度の予算案にも引き続き、自治体のイノシシを捕獲するための活動支援のため7千5百頭分の対策費を盛り込む方針で、地域ぐるみの対応を後押ししていくことにしています。

© 株式会社とちぎテレビ