コーヒーに見る中国の消費潜在力 スタバの出店857県に

コーヒーに見る中国の消費潜在力 スタバの出店857県に

浙江省麗水市青田県のカフェで開かれた読書会。(2023年4月26日撮影、青田=新華社記者/翁忻暘)

 【新華社北京2月21日】中国では大都市で身近な飲み物となったコーヒーが、各県の中心都市にも浸透しつつあり、中国の消費潜在力を知る絶好の材料となっている。

 米コーヒーチェーン大手スターバックスが1月30日に発表した第1四半期(2023年10~12月)決算によると、中国に3千近くある県級行政区のうち、同社は既に857県(県級市)に進出。ラクスマン・ナラシムハン最高経営責任者(CEO)は決算後の電話会見で「各県に新設した店舗の運営は堅調で、現在も地方市場への拡大を加速させている。より多くの県中心都市に出店していく」と語った。

 コーヒーを含む消費業界では「徹底的な地方への拡大」が共通認識になっている。関係機関のリポートによると、コーヒー大手各社が県域市場(県や郷鎮、農村)に開業した店舗は2023年に5454店となり、うち3700店が23年の出店だった。県域市場の1人当たり消費額の伸びは大都市を上回り、省や市、県など各級行政区の市場の中で最も高くなっている。

 中国食品産業アナリストの朱丹蓬(しゅ・たんほう)氏は取材に対し、ここ数年は大都市からの人材回帰が県域コーヒー市場の成長を加速させているほか、コーヒー店が県域市場の消費者にとって新たなレジャーと社交の場になっていると指摘。「どの地方にも新しいことを試し、体験しようとする人がおり、彼らは往々にして地元の消費トレンドの形成をリードしている」と述べた。

 中国では経済の持続的成長を受けた都市化が進み、県域市場と大都市間の消費の境界もますます曖昧になっている。ソーシャルメディアの加速的発展は、さらに多くの新事物、新理念、新トレンドが初期段階から地域や人に関係なく広がることを可能としている。

 消費分野に特化する投資機関、黒蟻資本(BA Capital)のリポートは、県に暮らす消費者の所得は大都市の住民に及ばないものの、可処分所得のより多くを消費支出に回すことができると指摘する。

 電子商取引(EC)プラットフォームのデータによると、チリ産チェリーやタイ産ドリアン、ベトナム産ジャックフルーツなどの輸入果物の販売の伸びが最も高い地域は賃金の高い大都市でなく地方の小都市となっている。下着用洗濯機やビルトイン型スチームオーブンレンジ、スマートシャワーヘッド、スマート衣類乾燥機など多くの高機能家電も県域市場に進出している。

 米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーのリポートは、中国の個人消費額が30年に65兆3千億元(1元=約21円)となり、伸び率の66%以上を地方が占めると予測。地方市場の待ちわびたような消費意欲と湧き上がるような消費能力の下、予測は急速に実現されつつある。

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