「新卒は率先して雑務をするように!」と言われましたが、従わない場合は「減給」になるでしょうか? 自分の業務がたまっていくので困っています……。

新卒が雑務をすることを求められる意味

コピー用紙の補充や電話番、来客対応、ゴミ出しなどの雑務は、誰でもできる仕事です。ですので、気づいた人がすればよいと考える新卒もいるのではないでしょうか。しかし、会社で雑務を新人が率先しておこなうようにと先輩からいわれた場合は、きちんと理由があります。

・新卒はまだ仕事ができるスキルを身につけていない

先輩社員と新卒を比べてみると、先輩社員のほうが長く会社に在籍しているため、仕事をこなすスキルは新人より先輩社員のほうが身につけているでしょう。

専門的なスキルを持っている先輩社員には、先輩社員にしかできない仕事を担当してもらい、まだスキルが身についていない新卒に雑務を担当してもらうほうが、会社全体としての業務効率が上がります。雑務は仕事のスキルをまだ身につけられていない新卒にも対応できる仕事です。

・雑務への向き合い方で仕事への姿勢が見える

誰でもできる雑務といえども、仕事に向かう姿勢は表れてきます。雑務が丁寧にできない人は、仕事を与えたときも丁寧にできません。逆に、雑務を丁寧にできる人は、仕事も丁寧にできる人です。雑務であっても、新卒がどのように仕事に向かっているかを先輩社員は見ています。雑務を丁寧におこなっていれば、先輩社員から仕事を任せようかと思ってもらえる可能性も高まるでしょう。

・雑務一つでも無駄なことはない

雑務をおこなうことで、たくさんの学びを得られます。例えば、来客対応や電話対応はコミュニケーションスキルを身につけられるでしょう。いくつかの雑務があったとき、いかにして仕事を効率よく進めていくかの訓練になります。

また、他の人が仕事を効率よく進められるような環境を整えられれば、感謝されるかもしれません。周りを見て何が必要かを見極めること、人の気持ちになって考えることなど、雑務といえどもたくさんのことが学べるため、無駄なものは何一つありません。

雑務にも給料は発生している

当然のことではありますが、就業中に行っている行為になるため、雑務にも給料は発生しています。新卒社員の手取りを20万円、1日の労働時間を8時間、1ヶ月の労働日数を22日と仮定すると、時給は約1100円です。一日の雑務時間を全て合算して1時間程度になるようなら、これだけの金額を稼いでいることになるため、モチベーションになるでしょう。

雑務が嫌な場合に断ると減給されるのか

従業員は企業と雇用契約を結ぶため、企業は従業員に対して業務を遂行する命令をおこなえ、従業員はその命令に従って業務を遂行することで賃金を得る関係になります。

原則として、企業や上司から業務遂行を命令されたら従業員は従わなければなりません。業務遂行命令に従わない場合、減給すると就業規則に定められていた場合、業務遂行命令に従わなければ減給される可能性があります。

ただし、あくまで原則であり、業務遂行命令が無効な場合や、命令を拒否するための正当な理由がある場合は、従業員は命令に従う必要はありません。例えば、上司からの命令が違法行為にあたる場合や、業務にまったく関係のないことをさせるなど、明らかに嫌がらせの場合は、従業員は従う必要がないのです。

新卒に対して雑務をおこなうように命令することは、明らかな不法行為とはいえないため、従わなければ減給される可能性があるでしょう。ただし、何年にもわたって雑務しか与えない場合は、不法行為にあたる可能性があります。

雑務といえども大切な仕事なので自分のスキルアップのために心を込めて仕事をしよう

一見自分の仕事に何ら関係のない雑務は、できればやりたくない、なるべく早く自分の仕事を覚えたいと考える新卒もいるかもしれません。しかし、雑務をすることで、今後仕事をしていくうえで必要不可欠なコミュニケーション能力や仕事を効率よくこなす能力を身につけられます。

先輩社員と比べてスキルが未熟な新卒でもこなせ、今後の仕事の礎となるのが雑務です。与えられた仕事を精いっぱいこなすことで、自分への評価も高まります。同じ仕事をするなら、前向きな気持ちで引き受けてみてはいかがでしょうか。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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