【増田貴久さんにインタビュー】“増田貴久”として見られたら負け。ヒントを集めながら役を作る楽しさ

ミュージカル『20世紀号に乗って』で自身にとって3作目のミュージカルに挑む増田貴久さん。演じるのは、かつてブロードウェイの花形プロデューサー兼演出家だったものの、今は落ちぶれて再起を狙うオスカー。

「基本的に自分に自信があって、何度失敗しても立ち上がってきたという部分は一緒かもしれません」

演出・振付を担当するクリス・ベイリーさんとは3度目のタッグで信頼関係も厚い。

「もともと英語の台本を日本語に翻訳していて、このセリフが笑いなのか本気で言っているのか分からない部分もあって。そんなときにクリスに聞くと、『そっちか!』ということはたくさんあります。何を聞いても答えを出してくれる安心感はすごいです。あるシーンの稽古中、クリスから『どこからやりたい?』と聞かれて、普通はそのシーンの頭とか途中とかなんですが、僕は冗談で『じゃあオープニングから』と言いました。通訳さんだけが笑って、クリスはキョトンとしていて、グローバルに滑りましたね(笑)」

稽古ではフラットな状態を心がけているそう。

「自分はこう演じたいというものを持ちながらも、それを出さないようにしています。稽古場でのクリスの言葉や、周りの方のお芝居、セリフを受けて、少しずつオスカー像を作っていくのが楽しいです」

作品を形作る楽曲も魅力的。

「曲を聞いたとき、面白い良い曲だと思っていましたが、実際に歌ってみるとすごく難しいです。NEWSで歌うときは全部自分が主人公なわけではないので、いろんな人の気持ちで僕が歌っていますが、ミュージカルは全曲“オスカー”が歌う。それは新鮮な感覚で、いつもとは全然違う表現になると思います」

「自分がどれだけその場で表現できるのかに挑戦したいと思っています。NEWSのときは“増田貴久”として表現しているけれど、ドラマでも舞台でも、そう見られた時点で負け。役をいただいてお芝居をする以上、自分の今までの経験などは一切持たず、頭を空っぽにした状態でヒントを集めながら自分の中で1つにまとまったとき、とてもやりがいを感じます」

増田貴久さんの“働く”インフラ

Q.忙しいときに体調維持のためにやっていることは?

1日ハードだったとしても、切り替えるための息抜きとして、ちゃんとごはんを食べることを大切にしています。本当は早く帰って寝ればいいんですが、帰宅してからテレビも見たいし、音楽も聞きたい。自分のための時間を取るようにしています。

Q.仕事に対する意識で変化したことは?

「この作品は増田貴久で」と選んでくださることに対しての喜びと感謝の気持ちは年々大きくなっています。同時に責任感というか、なぜ僕を選んでくれたんだろうということも考えます。結果も、10年前より今のほうが良いものを作らないとダメだと思いますし、今の自分を使ってくれていることに対して全力で返せるように成長できていたらいいなと思っています。

【Check】

ミュージカル『20世紀号に乗って』

東京公演:3月12日(火)~31日(日)東急シアターオーブ

大阪公演:4月5日(金)~10日(水)オリックス劇場

1932年に生み出された戯曲を原作に、映画化、ミュージカル化されてきたブロードウェイ・ミュージカルの金字塔ともいえる名作が日本では5年ぶりの上演。1930年初頭のアメリカ。舞台演出家兼プロデューサーのオスカー(増田貴久)は、プロデューサーとしての再起をかけるため、高級列車「特急20世紀号」に乗り込む。

【PROFILE】

1986年生まれ、東京都出身。2003年にNEWSとしてCDデビュー。音楽活動、バラエティー、ドラマ、舞台など多岐にわたり活躍。持ち前のファッションセンスをいかし、ライブ衣装のデザインなども手掛ける。主な出演作に、ドラマ「ギフテッド」シリーズ、「夕暮れに、手をつなぐ」、舞台「ハウ・トゥー・サクシード」など。現在「ぐるぐるナインティナイン」「ネタパレ」にレギュラー出演中

取材・文/宮澤亜美子、高木明日美(シティリビング編集部)、撮影/渡邉真一、ヘアメイク/坂部めぐみ、スタイリスト/内田あゆみ(creative GUILD)

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