人が活きる働き方って? 学ぼう、話そう、お互いのこと

学ぼう、話そう、お互いのこと〜人が活きる働き方〜

さまざまな性格、性別、環境、価値観を持つ人が集まり、ともに仕事をするオフィス。

一人ひとりが周りへの気づき・思いやりを持って〝共感〞を広げていけば、お互いへの理解が生まれます。

まずはお互いを知ることから始めてみませんか?

オフィスには個性豊かなアニマル社員がいっぱい!「オフィzoo」はシティリビング東京版で連載中

illustration /ゆきまき

あなたの会社で、性別・年代などによるギャップについての相互理解は進んでいると思いますか?

一緒に働く人の間で、お互いの理解が足りていないと感じるのは?(複数回答)

オフィスでの「相互理解」現在地

・他者に関心がない人が多い職場なため、自分のことしか考えていない人が多いです。例えば、スケジュールを立てるときに自分の都合だけで無理強いしてくるなど。(H.H)

・毎月のように生理休暇を取得する同僚。休暇明けに決まって「○○へ行ってきた」と自慢話をしています。生理休暇ってそういうものだっけ…。男性社員からも生理休暇への誤解が生まれそうです。(K.O)

・ハラスメントを過剰に意識しすぎるゆえに、コミュニケーションが不十分に。業務上必要なサポートも行き届かず、社員間の不満が募るという負のスパイラルに陥っています。(Y.A)

・性別や年代、未婚既婚、子どもの有無、雇用形態など、職場にはいろいろな立場の人がいる。一人ひとりが思いやりを持って、相手の立場で考えることができれば状況も良くなると思いますが、なかなか難しいですね…。(C.I)

・会社の方針としてダイバーシティが掲げられているけれど、実際の現場の意識はそこまで高くないと感じます。(H. S)

※アンケートは1月24日~2月5日シティリビングWebで実施。有効回答数1,775

企業の数だけやり方がある! 相互理解への道

お互いの理解を深めて働きやすいオフィスを作るための、社内での取り組みや、商品・サービスの開発などを行う4社にインタビュー。多彩な取り組み、商品・サービスから、“人が活きる”オフィスのヒントがみつかるかも。

【丸紅の場合】

あらゆる業界と接点があるからこそ必要性を感じた健康課題への取り組み

総合商社である丸紅と、産婦人科向けオンライン診療システムを開発・運営するカラダメディカ、「ルナルナ」でおなじみのエムティーアイの3社で、新会社「LIFEM(ライフェム)」を2022年7月に設立しました。法人向け健康支援プログラム「ルナルナ オフィス」を企業へ提供しています。これは女性のためだけのサービスではなく、周りの男性も含めてみんなで正しく知り、ヘルスリテラシーを上げて、環境をよくすることを目標にしています。

企業によって、セミナー動画を配信したり、集まって研修をしたりと、さまざまな取り入れ方をしてもらっています。その反応を見ながら調整し、効果検証を行うことで、さらなる啓発活動に取り組んでいます。女性のユーザーからは、男性上司が受講しているのを知り、安心感が芽生えたという声もありました。サービス開始当初は自発的に取り入れたいという企業は国内でも先進的な取り組みをされている企業のみに限定されていましたが、最近では取り入れたいという問い合わせも多くなってきました。これからも企業が個人の体調や状況に寄り添い、優しい社会へ変えていくための第一歩をサポートしていきたいです。

(丸紅 フェムテック事業チーム 野村さん)

【ライオンの場合】

体も心もキャリアも我慢しない社内全体のリテラシーを底上げ

自分らしい生き方を実現するために、ライフステージごとに生じる体の悩みや不調とうまく付き合いながら、キャリアを設計していくことが必要と考えています。ここで言うキャリアは必ずしも会社での役職ではありません。そこで、ヘルスケアとキャリアを両方学べる、「ウェルビーイングラウンジ」を社内有志で発足しました。メンバー構成は女性6、男性1。男性が加わり活動することで、女性当事者だけでなく男性含めみんなで考えていくものという意識が広がっているように思います。

社内でセミナーの参加者を募るときには、男女とも参加しやすいような発信の仕方に気を付けています。女性・男性特有の健康課題、食、メンタルヘルスなど、社員アンケートで聞こえてきた声や実態を踏まえた内容で広く展開しています。ライオンには、オフィスや工場など、さまざまな現場で働く社員がいます。当事者のリテラシー向上はもとより、こうした活動自体を社内外に発信し、「こういうことを考えるのが当たり前」と感じられる空気感を醸成していきたいです。

(ライオン ビューティケア研究所 遠藤雄二郎さん)

【小林製薬の場合】

女性の不調を疑似体験共感と思いやりのある職場へ

「命の母」や「サラサーティ」など、女性特有の身体の不調や困りごとをサポートする商品を展開する中で、身をもって体験することの重要性を感じ、おりものの不快感や生理痛を疑似体験する「女性の大変さ体験会」を開催しました。部署横断でフェムテックの新規事業創出のプロジェクトが発足した中、特に男性の管理職をどうにか巻き込みたいと思いました。机上で学ぶだけでは理解しきれないと思い、体感することを重視。参加した男性社員からは、思ったよりも強い痛み、ランダムに来る痛みにストレスを感じるといった声のほか、まったく耐えられない人もいました。また、女性の参加者からは、自分よりもまだ強い痛みで大変な人がいることがわかったという反応もありました。

男女とも「共感」をポイントに、業務指示ではなく自発的に参加し、気づきを得られたこともポイントです。身体の不調は一人で抱えるものではありません。少しの気遣いと配慮で、一人ひとりの気持ちに寄り添えることができる職場になればいいと思います。

(小林製薬 日用品事業部 白土誠さん)

【オムロンヘルスケアの場合】

サイレントキラーとも呼ばれる高血圧日頃からの血圧測定の重要性を啓発し続けたい

2023年にオムロン ヘルスケアで実施した「更年期の高血圧と高血圧対策に関する意識調査」によると、女性が更年期になると高血圧になる可能性が高くなることを知らない、知っていても特に対策していないという結果が浮き彫りになりました。 更年期に近づくとエストロゲンの分泌量が低下し、血管を拡張させる働きが弱まるため、血圧が高くなる傾向があります。これを「更年期高血圧」といいます。高血圧は自覚症状がないため、「サイレントキラー」と呼ばれています。放置すると、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心不全などのリスクを高めることもあります。人間ドックなどでは数値が正常でも、家で測ると高血圧の傾向があることも。普段の自分の血圧値を知っておけば、異変を感じたときすぐに病院にかかって対策を取れます。

オムロンではもっと気軽に血圧管理ができるように、手首で簡単に血圧が測れる手首式血圧計の販売や、女性の健康に関する情報発信を行う「オムロン式美人」というwebサイトも展開しています。1973年の血圧計の初号機を発売して50年が経ちましたが、啓発活動に終わりはありません。男女関係なく、高血圧に気づく機会を創出し、健康に過ごす手助けをできればと思います。

(オムロン ヘルスケア 広報部 和田さん)

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