「個性失われているのでは」授業で研究した校則 メイクや私服を試しに解禁 心配する教員に取り組み説明 沖縄県立球陽高

私服や制服、化粧など自由なファッションで登校する生徒たち=20日、沖縄市・球陽高校(金城健太撮影)

 沖縄県立球陽高校(田名裕治校長)で20日、身なりに関する校則を1カ月間「廃止」する取り組みが始まった。探求活動の一環で校則に関して研究する2年生のチームが発案して実現した。今後、取り組みで見えてきた効果や課題を検証した上で、現在の校則の改定などを検討する予定だ。計画した生徒たちは「多様性について考え、個性を大事にできる充実した期間にしたい」と意気込んでいる。(社会部・普久原茜)

 同校は国際的な科学人材の育成を目指す文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」指定校で、生徒たちがチームごとにさまざまなテーマを設定して探求する活動をしている。今回は、校則について探求する2チーム計9人が研究の検証のために計画した。

 「根拠のない校則によって生徒の個性が失われているのではないか」と問題提起をしたチームは、生徒へのアンケートや県外の学校の事例を研究。「メークと校則」について探求するチームは、化粧による心理的な効果や自己表現としての活用方法を研究してきた。

 生徒たちは事前に校長や教員らに研究の意義や目的を説明。その結果、制服の着用規定や染髪・アクセサリーの禁止などといった身なりに関する校則を試験的に「廃止」し、生徒たちは自由なファッションで登校することが可能となった。安全性や衛生面を考慮し、体育や調理実習では装飾品を外す、過度な露出は避けるなど一定のルールを定めた。

 取り組みの初日、生徒たちは私服を着たり化粧をしたり、自由に個性を表現して登校した。「おしゃれができて楽しい」「制服より楽」など、笑顔が見られた。一方、半数近くは制服で登校しており「私服を選ぶのが面倒」「私服でも制服でも日によって選べるのがいい」などの意見もあった。

 合同チームの仲本新さんは「みんなの個性があふれていてワクワクしている。楽しみながら決められたルールを守ることができるか、どんな課題が出てくるのか、検証したい」と意欲。小浜槙花さんは「取り組みをきっかけにみんなが個性を認め合えるようになるといい」と話した。

 チームの指導に当たる川端俊一教諭は「教員たちからは心配の声もあったが、やってみないと分からないこと。生徒が自分たちの権利やそれを考える原動力になると思う」と生徒たちを後押し。探求活動を主導する中村元紀教諭は「取り組みをきっかけに教員の意識も変わる。生徒と教員のコミュニケーションの幅が広がると思う」と期待した。

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