実家をリフォーム→“賃貸転用”で「表面利回り100%超」の事例も…親から引き継いだ古い家が「お宝」だといえるワケ【空き家収益化のプロが解説】

相続した実家にリフォームを施して、賃貸住宅に転用すれば「購入費用0円」で高利回りの不動産投資を実現できます。とくに、直近まで親が住んでいたような家の場合はリフォーム費用を抑えられ、利回りも高くなるといいます。本稿では、三木章裕氏の著書『実家の「空き家」超有効活用術』(フォレスト出版)より一部を抜粋し、古い家が「お宝」に生まれ変わった4つの事例についてみていきます。

相続した物件をリフォームして賃貸住宅に転用して稼ぐ

相続した不動産なら、賃貸住宅に転用すれば購入費がいらないので、簡単にリフォームするだけで、びっくりするような高利回りの不動産投資になります。

◎埼玉県の一戸建て

まず紹介するのが、埼玉県の物件の事例です。ご両親が昭和61年に新築した戸建で、敷地面積約170㎡、建物約85㎡、駐車場有りの相続空き家でした。

売却せずに賃貸を選択した理由は、知人の不動会社に相談したら、「この物件は売れない」と言われたから。

「本来建物を建てられない市街化調整区域で、全面道路も私道。再建築はできるが、建築条件が厳しい物件。そのため、売却ができたとしても、当初想定したような価格での売却は難しい」

という判断でした。そこで、賃貸することを検討した次第です。とはいえ、当初、所有者は、大家業は未経験。リフォーム費用をかけたところで、果たして入居者が決まるかどうか不安だったのですが、思い切ってやってみることを決断しました。

初期費用は残置物処分に22万円、リフォーム費用は当初250万円。入居者が退去後にその都度、いろいろ修繕しています。リフォーム工事が完了して2カ月で入居が決まりました。

家賃は月額7万8,000円(年93万6,000円)となります。表面利回りの計算式は次のとおりです。

年間家賃÷リフォーム費用(投資額)

※100%なら投資を1年で回収できるということ。

今回の物件をこの計算式に当てはめると次のようになります(残置物処分とリフォーム代で272万円。今回は相続なので、土地建物価格は計算に入れません)。

93万6000÷272万円=34%

リフォーム費用を仮に都市銀行に預金すれば、「270万円×0.002%=54円」です。家賃なら年間93万6,000円、都銀で定期すると年間54円です。なんと定期預金の1万7333倍です。

お金を寝かしてしまうより、リフォーム費用として投資に使うほうが断然収入アップです。ただし、銀行の定期預金より賃貸経営のほうが、1万7000倍以上のリスクがあると考える方は、無理にやる必要はありません。

◎大阪府豊中市の一戸建て

大阪府豊中市で相続していた家をリフォームして賃貸した事例です。

大きなリフォームをせずに、カラーコーディネートされたアクセントクロスやペイントで古さを感じさせずに低価格で仕上げています。元々よくお手入れされていましたので、この程度のリフォームで十分でした。

リフォームで使った費用は60万円、月額家賃は5万8,000円で、募集後1カ月で決まりました。表面利回りは116%にもなります。

立地も賃貸向けで、近くにスーパー、小学校、中学校もあり、便利なところでした。

60万円のリフォーム代はかかりましたが、約1年で費用回収できて、その後は安定的な家賃収入が期待できる物件です。

神奈川県・和歌山県和歌山市の賃貸転用成功事例

◎神奈川県の古家

次は、神奈川県の物件です。

こちらでは、お父さんの所有物件だったものを、思い出がたくさん詰まっているので、売りに出さず、賃貸物件として持っていたいと思い、賃貸住宅として改装されました。物件も程度が良く簡単なカラーリフォームと設備の交換で、賃貸募集しました。

この物件もすぐに入居者が決まりました。

リフォーム工事費は150万円で、月額家賃は8万3,000円です。

車1台分の駐車場があり、ペットを飼いたいご家族が入居してくれました。この物件の表面利回りは66%になる、高利回りの賃貸物件です。

相続物件の場合、一般的な不動産投資と異なり、物件購入費がかかっていませんので、賃貸向けにリフォーム工事するだけで、高利回りの賃貸物件ができてしまいます。

「親の住んでいた古い家なんか、誰も借りてくれない」と考えているかもしれませんが、意外と内装工事程度で賃貸住宅に転用されて、家賃を稼いでくれるようになります。

◎和歌山県和歌山市の中古マンション

古いマンションでも、少し内装に凝ると、意外と賃貸需要があります。

和歌山県和歌山市のマンション物件です。相談に来られた木本さん(仮名)は、相続したのはいいものの、自分たちが住むつもりがなかったので、空室になったまま放置していました。

近隣の不動産屋に相談しても、何も解決策を提案してくれません。

そこで、木本さんの友人からのつてで私に相談があり、そのままでは維持費や固定資産税を払うばかりで、まさに“負動産”でした。

そこで、賃貸需要があるところなので、一緒に活用方法を検討して、賃貸住宅として活用することにしました。しかし、この周辺は競合の賃貸マンションが多く、差別化を図るため、古家再生リフォームの専門家に入ってもらい、大胆にリフォームしました。

リフォームは、普通のマンションリフォームよりは少し高くつきましたが、改装すると、すぐに入居者が決まりました。

リフォーム費用は149万円、家賃は7万9,000円プラス共益費4,000円です。

1年半もあれば投資費用は回収できて、毎月家賃がもらえるようになりました。

マンションといえども、放っておくと、いろいろコストがかかってしまいます。維持するのに、ゼロではなくマイナスになります。そこでなんとか、お金を生むこと、稼げることを考えないとダメです。ビジネス的にいえば、チャンスロスになっているわけですから。

価値を見つけて磨き上げれば「お宝」になる

特に、直近まで親が住んでいたような家だと、リフォーム費用が少なくて、高利回りになり、可能性も高くなります。活用しないと、実にもったいないです。

昨今の長寿化社会では、親も自分の終の住処と思った家でも、結局、高齢者施設などに転居しなければならない事態が増えています。親から引き継いだ古い家は、厄介者ではなく「お宝」です。

相続する皆さんがその価値に気づいて、磨きあげると輝いてきます。

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