【開幕スタメン予想|福岡】実績&経験ともに十分な22歳MFに期待。ベン・カリファの“献身性”は攻撃力アップには欠かせない

いよいよ開幕を迎えるJ1リーグ。20チームに増えた24シーズンは、どんな戦いが繰り広げられるか。本稿ではアビスパ福岡の開幕スタメンを予想する。

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「感動と勝ちにこだわる」という変わらぬスローガンのもと「JUMP!」をテーマに今シーズンに挑む福岡は、目標に「リーグ戦6位以上、カップ戦ベスト4以上」を掲げ、さらなる躍進を期す。

昨シーズンの躍進を支えた中心選手がチームを去ったが、柳田伸明強化部長が「今シーズンの目標はもちろん、将来の目標の達成も考えてのチーム編成」と口にするように、これからを嘱望される能力ある選手をピンポイントで獲得。堅守をそのままに、課題とされている攻撃力アップを図る。

システムありきではなく、目の前の対戦相手に対し、最も自分たちの力を発揮できる選手、立ち位置で戦うのが長谷部茂利監督の基本的な考え方。直近3年間での札幌(開幕節の相手)との試合内容、結果等々から、3-4-2-1のシステムで臨むことが濃厚だ。

GKは永石拓海。最終ラインは中央に奈良竜樹、右にドウグラス・グローリ、左に宮大樹が並ぶ。高さ、対人の強さ、そしてゴール前で身体を張れる3人への信頼は厚い。

右ウイングバックには1対1の守備に強く、積極的なオーバーラップにも定評がある湯澤聖人。左には攻守にわたって著しい成長を見せた前嶋洋太が構える。

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ボランチにはチームの心臓と呼ばれる前寛之と、完全移籍で加入した松岡大起がコンビを組む。松岡は22歳ながら、すでにJ1リーグ通算で113試合に出場。実績、経験ともに十分で、宮崎キャンプでも存在感を存分に発揮。昨季はブラジルで辛い想いもしたが、それも成長のための糧。今シーズンの活躍が期待されている。

1トップは広島からやってきたナッシム・ベン・カリファ。前線で攻撃の起点となることやゴールを重ねるだけではなく、攻守にわたる献身的なプレーは長谷部監督がなによりも求めるもの。攻撃力アップには欠かせない。

そして2列目の右は、「博多のメッシ」と呼ばれる紺野和也で決まり。左は鳥栖から完全移籍でやってきた岩崎悠人と、ベテランと呼ばれる年齢に達した金森健志が先発のポジションを争う。

岩崎は鳥栖ではチャンスメーカーとしての役割を担うことが多かったが、長谷部監督は彼の最大の特徴である前への推進力を生かすためにゴールに近いポジションで起用する方針。金森はキャンプを通じて切れ味鋭い動きを見せており、岩崎にポジションを渡すつもりはない。ポジション争いはギリギリまで続きそうだ。

さて、長谷部監督がチームを率いてから、福岡はチームの記録をことごとく更新してきた。だが、直近の3年間で開幕節勝利はなく、過去をさかのぼれば2001年の開幕節勝利を最後にJ1の開幕節で勝ちがない。

この不名誉な記録に終止符を打ってスタートダッシュを仕掛けてほしい。それがアビスパに関わる人たちの想いだ。

取材・文●中倉一志(フリーライター)

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