HSBC、23年は過去最高益も予想下回る 中国関連評価損が響く

Selena Li Lawrence White

[香港/ロンドン 21日 ロイター] - 英金融大手HSBCホールディングスが21日発表した2023年通期決算は過去最高益を更新したものの、市場予想を下回った。出資先の中国の銀行に関連した費用が金利上昇による収入増を相殺した。

23年の税引き前利益は前年比78%増の303億ドル。同行がまとめた証券会社の平均予想(341億ドル)を下回った。

20億ドルの自社株買いを発表したほか、今年上期に0.21ドルの特別配当実施を検討する方針を示した。

一方、保有する中国交通銀行株で30億ドルの評価損を計上した。中国の景気回復が予想以上に不安定となる中、交通銀のキャッシュフローや融資の伸び、金利マージンの見通しについてレビューを行ったという。

中国の不動産危機の深刻化は同国にエクスポージャーを持つグローバル銀行に影響しており、HSBCの評価損は外資系銀行の中ではこれまでで最大となった。

マーク・タッカー会長は発表文で「(新型コロナウイルス禍後の)中国の回復は予想以上に不安定だが、23年は5%前後という目標に沿った成長を遂げた」と指摘した。

インフレが長引く多くの国で経済成長が鈍化する中、HSBCは今年上期の融資の伸びについて慎重な見通しを維持しているとした。

HSBCによると、23年のコストは予想を上回る6%増。米国と英国で銀行税が想定以上になった影響という。事業へ投資する一方でインフレに対処する中、24年のコストはさらに5%増加する見通し。

23年の有形株主資本利益率(ROTE)は14.6%で、予想の17%に届かなかった。同行は24年のROTE目標を引き続き10%台半ばにすると表明した。

ノエル・クイン最高経営責任者(CEO)の23年報酬総額は前年の560万ドルから2倍となる1060万ドルに増加。長期インセンティブに伴う変動報酬が拡大した。

HSBCは、業績改善を反映し、ボーナスプールが前年の34億ドルから38億ドルに増加したほか、若手・中間管理職を対象とした新しい変動報酬制度を開始するとした。

1株当たり0.31ドルの第4回中間配当を発表。その結果23年の配当はトータルで0.61ドルとなった。

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