耐震改修の補助上限引き上げ 4月から150万円に、能登地震受け和歌山・田辺市

和歌山県田辺市の木造住宅耐震改修補助件数

 能登半島地震で古い木造住宅が多く倒壊したことを受け、和歌山県田辺市は21日、住宅耐震改修の補助金上限を4月から150万円に引き上げる方針を示した。県内市町村で最高額となる見通し。市の住宅耐震化率は全国平均を下回っており、真砂充敏市長は「市民の耐震化への取り組みを、少しでも後押ししたい」と話している。

 能登半島地震で、石川県では7万棟以上の住宅が被害を受けた。200人以上が犠牲になっているが、倒壊した建物の下敷きになるなどの「圧死」が最も多かった。

 補助金の対象は2000年5月以前の基準で建てられた住宅。耐震診断(無料)の上、耐震設計と改修工事費を補助する。従来は国が50万円、県と市が33万3千円を上限に拠出し、計116万6千円だった。今回、市の負担を33万4千円増額する。

 市によると、耐震改修費用の実績(19~23年度)は平均200万6千円。補助金を増額することで自己負担を50万円程度に抑え、耐震化を促す狙いがある。現地建て替えの補助は、従来通り上限116万6千円。

 市の住宅耐震化率は73%(2020年度)で、全国の87%、県の81%(ともに18年度)を下回っている。04年度の補助制度開始以降、耐震診断は3千件を超えているが、改修は437件。23年度は1月末現在25件にとどまっている。

 市建築課は「耐震の必要性は分かっていても、経済的なハードルを感じている人が多い。補助金の増額であと一歩を後押ししたい」と話している。

 市は27日開会の3月市議会に住宅耐震改修事業費補助金として7166万円の予算案を提出する。耐震改修40件、現地建て替え10件を見込んでいる。

 県内では大半の自治体が上限を116万6千円としている。現在最高額は新宮市の146万6千円。同市防災対策課によると23年度は耐震改修47件、現地建て替え4件の申請があった。

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