シニア犬の介護…具体的に何をするの?必要になる3つのお世話とは

シニア犬の介護:必要になるお世話

どんな犬でもいつかはシニア犬になります。動物医療の発達で愛犬がかつてより長生きできるようになったのは嬉しい限りですが、その分介護問題も増えているのが現実です。

「まだまだうちの子は小さいし…」などと思っていても、その日はいつやってくるか分かりません。いざという時に何も知識が無ければ、後悔してしまうことになる可能性も。

そこで今回は、シニア犬の介護に必要になるお世話について解説します。愛犬の穏やかで平和な老後のために、今のうちに学んでおきましょう。

1.食事の管理とサポート

シニア犬になると、噛む力が弱くなります。分厚いドライフードを噛みづらそうにしているとき、噛めずに丸飲みしてしまうときは、薄いドライフードに切り替えてあげることで食べやすくなります。

さらに、1回に食べることができる量が減ります。食事を小分けにし、回数を増やすことで、栄養不足を防ぐことができます。自動給餌器を活用するのがおすすめです。

また、消化機能が衰えるため胃や腸に負担がかかりやすく、消化不良によって、嘔吐や下痢をすることがあります。ドライフードは細かく砕いたり、お湯をかけてやわらかくしたりすることで、消化や吸収が良くなります。

そして足腰が弱り、立ったまま食事をすることができなくなることがあります。寝たきりになる犬もいます。手やスプーンを使って少量ずつ食べさせたり、流動食を注射器に入れて口に流し入れたりする必要がある場合もあります。

2.お散歩や運動のサポート

シニア犬になると、寝ている時間が増え、活動量が減ります。自らおもちゃで遊ぶこともほとんどなくなります。筋力と健康の維持のためには、飼い主によるお散歩や運動のサポートが欠かせません。

お散歩に行く目的は、体を動かすことばかりではありません。五感を刺激するものが溢れています。その刺激を受けることでストレスが発散され、脳の活性化にも繋がり、老化や認知症の予防に役立ちます。

シニア犬になると、お散歩に行くまでの準備にも時間がかかります。歩くのもゆっくりになります。立ち止まって休憩することも増えます。歩きたがらない日も増えます。

飼い主には、気長に付き合ってあげられるだけの時間と心の余裕が必要です。

手足に不自由があるとき、力が入りづらいときは、補助ハーネスや犬用の車いすを活用しましょう。歩けなくなってしまったシニア犬には、ペットカートを活用しましょう。中型犬や大型犬には、キャンプなどで使うアウトドアワゴンがおすすめです。

3.トイレの工夫と排泄のサポート

シニア犬になると、筋力が衰えることで、排泄のコントロールが難しくなります。つまり、粗相(お漏らし)をしやすくなるということです。これは飼い主にとっても困り事ですが、犬にとってもストレスの原因になり、心を病んでしまうことがあります。

また、ちょっとした段差につまずくようになったり、越えられなくなったりするようになるため、トイレトレーは使えなくなる日がくるでしょう。

  • 床にトイレシートを敷き詰めておく
  • マナーベルトを着用する
  • おむつを着用する
  • こまめにトイレに連れて行く

粗相の防止には、このような対策をするとよいと思います。

マナーベルトやおむつで排泄をすることができたときも、「上手にできたね」「おりこうさんだね」「えらいね」など、声をかけて褒めてあげてください。シニア犬の自信と粗相防止に繋がります。

老犬のトイレの失敗は絶対に叱らないであげてください。飼い主が困ったような表情をしたり、イライラした態度を見せたりするだけでも、犬は悲しんでしまいます。粗相防止の対策をすることで上手くカバーしましょう。

立ち上がること、排泄のポーズをとることが難しくなったシニア犬には、体を支えるサポートが必要になります。

また、自力で排泄することができなくなることもあります。膀胱や肛門を刺激したり、押し出したりなどのサポートが必要になります。シニア犬の排泄のサポート方法については、かかりつけの獣医師の指導を受けることをおすすめします。

まとめ

シニア犬の介護に必要になるお世話を3つ解説しました。

  • 食事の管理とサポート
  • お散歩や運動のサポート
  • トイレの工夫と排泄のサポート

シニア犬になると、飼い主や家族だけではお世話ができなくなる場合もあるでしょう。愛犬の介護がきっかけで、飼い主の心身の健康に支障が生じる場合もあるでしょう。

そうならないためにも、犬の介護士さんがいますので、大変なときは迷わず手を借りましょう。(お留守番をさせるのは心配だ…)という場合には、老犬ホームに一時的なお世話を依頼するなどの方法もあります。

飼い主だけでお世話をしなければならない、ということは一切ありません。無理をせず、身近な人を頼りましょう。愛犬のためにも、他人に頼ることは決して悪いことではありません。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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