契約社員ですが、「正社員よりも」売り上げに貢献しています。この場合でも「ボーナス」は発生しないのでしょうか?

企業における契約社員の立場とは? そのメリットとデメリット

契約社員としての働き方は、さまざまな業種や職種で見られます。IT業界ではプロジェクトベースでの雇用が一般的で、契約期間終了後には、条件が合えば次のプロジェクトへ移行することになるのです。

一方教育分野では、契約教員が学期や学年ごとの契約で教鞭(きょうべん)をとることがあります。このようなケースでは、契約更新が可能かどうかはその人の能力やプロジェクトの規模やスケジュールに大きく依存します。では、このような契約社員として働くメリットとデメリットについて確認してみましょう。

・契約社員のメリット

契約社員であっても、専門性を生かし、キャリアを発展させる機会は少なくありません。この働き方は、特に技術や専門性が求められるプロジェクトやタスクでその知識を生かし、短期間でより高度なスキルを習得することが可能です。その結果として、キャリアアップに直結する可能性があるのです。

また、勤務地や時間の柔軟性も大きな利点で、リモートワークを含め、生活の質を高めながら仕事とプライベートのバランスを取ることが容易です。

さらに、契約社員はさまざまな企業やプロジェクトでの勤務を通じて、多様な経験を積み、広い視野を持てるため、これが多角的なスキルセットの開発につながります。このように、契約社員としての働き方は、柔軟性と機会の豊富さを兼ね備えており、個人の成長とキャリアの進展に大きく貢献する可能性を秘めています。

・契約社員のデメリット

契約社員としての働き方は、雇用の不安定性、福利厚生の不十分さ、そしてキャリアパスの不透明性というデメリットを抱えています。まず、契約期間の終了が近づくたびに、再契約されるかどうかを気にしなければなりません。この不確実性は、長期的なキャリアの計画や収入の安定に影響を及ぼします。

そのため、社内での立場が正社員ほどはっきりせずに、社内コミュニケーションやチームワークを築くうえで困難を感じることもあるのです。

また、正社員に比べて昇進の機会も限られており、その結果、同じ組織でのキャリアアップを希望する場合の不確実性は大きなものとなります。さらに、正社員と比較すると、契約社員は健康保険や退職金制度などの福利厚生が限られています。一般的には、長期勤務が前提の正社員と同等の福利厚生は提供されないのです。これは、ボーナスにも当てはまります。

契約社員とボーナスの関係

契約社員に対するボーナスの取り扱いは、契約の詳細や企業の内規に依存します。ボーナスに関して法律で厳格な規定がないため、労働契約や就業規則の記載内容によって決定されます。

ボーナスの支給が約束されていれば、企業はその約束を守る必要がありますが、記載がなければ支給は保証されません。売り上げへの貢献目標値などが契約内容に記載されていて、それが達成されればボーナスを支給することが明記されていない限り、企業がボーナスを支給する義務はないのです。そのため、契約時や更新時には、ボーナスに関する項目を確認し、理解しておく必要があります。

また、「同一労働同一賃金」の原則に基づき、正社員と同等の貢献をしている場合には、ボーナスの支給を求めることも可能ですが、実際には企業の方針と契約内容が決め手となります。

まずはボーナスに関する契約書の内容を確認しましょう。

契約社員の方が正社員以上に貢献しているにもかかわらずボーナスがない場合、その不公平さを感じることは自然なことです。しかし、正社員とは異なる企業内での契約社員の立場を考えると、ボーナス支給の対象にはなりにくい現実があります。もちろん、契約時にボーナス支給の条件が明記されている場合は、その契約を元に主張は可能なので、一度契約内容や就業規則を確認してみましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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