賃上げどころか実質は下がり、会社員の「やる気」も上がらず?

2月21日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーに経済ジャーナリストの渋谷和宏さんが出演。昨年11月に発売された著書『日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか』に関連して、日本の賃金の問題を語った。

壇蜜「(日本は)賃上げだなんだと言っても、上がっている様子が……」

渋谷和宏「『実質賃金』という物差しがあるんですね。物価を勘案しているんです。物価が3%上がって、その中で賃金が1%上がっても賃金の購買力は2%下がっちゃいますよね。この実質賃金というのが昨年12月までに21ヶ月連続で下がり続けている。実質、賃上げどころか下がっているということなんです」

壇蜜「それは生活もできないし結婚もできない。所帯も持ちたくなくなるし……」

渋谷「少子化の遠因も非正規を増やして賃金を抑えた、というところにあるんですね」

壇蜜「全部つながっているんですね」

渋谷「たとえば1999年、派遣労働はそれまで『この職種しかできませんよ』というポジティブリストだったものを『全体OKです。ただこれだけダメですよ』というネガティブリストに変えて。2割程度だった非正規の人たちが一気に4割まで広がってきた。いまようやく非正規の人たち、たとえば派遣会社に登録している派遣社員の給料が正社員の7割まで来た。ただ99年時点では55%ぐらいでした。その人たちを増やすことでコストダウンしようとした。結果として全体の給料が下がったので、皆、ものを買わなくなった。経済がどんどん沈滞してデフレになった。そういう状況を招いた一因でもあるんですね」

壇蜜「正社員なら正社員で、責任持ちたくない。偉くなりたくない若い人たちがどんどん増えているという」

渋谷「そのとおりですね。賃金が上がる、報われるならいいんですけど、報われない。失敗すると、減点主義的な人事制度で降格、減給となったら責任ある立場になりたくない。そういう方向へ、特に大企業は行ってしまった。……というのをまとめたのがこの本(著書『日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか』)だということです」

大竹まこと「給料が30年も上がらないんじゃ、やる気もへったくれもない。がんばれば賃金が上がって儲かる、それであれを買おうとか、いろいろなことに役立てよう、と。それがないんじゃ、いまの仕事を適当に流して……ってなる」

壇蜜「結果、タイトルにある『やる気』を失う」

大竹「やる気出したやつが会社からスポイルされもする。『あいつやる気ある、迷惑だ!』」

渋谷「でもやる気がないとたぶん、iPhoneみたいな『え、おもしろいじゃん!』みたいな商品は生まれない。あるいはGoogleのようなネットサービスも生まれない。やっぱり人が喜んでくれるようなものをつくろうって、言われたことをやっていればいい、適当でいい、という姿勢の仕事からは生まれないと思います」

© 株式会社文化放送