「あきやま学寮」新年度は運営休止 佐野市の宿泊施設群、指定管理者の後継決まらず

新年度から1年間、運営休止となる「あきやま学寮」

 【佐野】市は新年度、秋山町の体験型複合宿泊施設「あきやま学寮」「古代生活体験村」「ウッドランド森沢」「体験館」の運営を休止する。本年度で、現在一括管理している指定管理者の契約が満了となるが、利用者減に伴う収支状況の悪化などで、後継が決まらなかった。市は「今後の運営方針などを調査、検討し、2025年度の再開を目指す」としている。

 市北部の山間の豊かな自然の中にあるこれら一体型の施設群は、ログハウスなど総定員数で100人規模の宿泊施設、古代体験ができる竪穴式・横穴式住居などがある。あきやま学寮には研修室、ホール、レストラン、大浴場もあり、家族連れをはじめ学校、企業、団体が利用している。

 一方で利用者は減少傾向にあり、最近の台風19号や新型コロナウイルス禍の影響を受けて大幅に落ち込んだ。09年度に6千人超の宿泊者があったあきやま学寮は、昨年度やや回復して持ち直したものの、それでも600人台にとどまった。

 これまでの年度別収支状況は、22年度がマイナス550万円と5年連続の支出超過。人件費や光熱費の上昇もあり、厳しい状況にあるという。

 今回、指定管理者の更新に応募はなかった。最終的に市が要請した1社が収支計画書を提出したが、市側が依頼した計画策定額とは乖離(かいり)が大きく折り合わなかった。このため市は庁内の検討委員会で協議し、24年度休止の判断をした。

 市は今後、公募で事業を提案した民間事業者に、一定期間試行してもらう「トライアル・サウンディング」の実施なども視野に入れながら集客力や採算性といった課題を検証し、新年度の早い段階で方針を決める。

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