【阪急杯】荒れ模様で重馬場適性を最重要視 狙うは道悪巧者のタマモブラックタイ

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雨の影響で求められる重馬場適性

今年の阪神競馬が開幕する。その開幕週に行われる重賞は阪急杯(芝1400m)。今週は全国的に雨、週末も雨寄りの天気予報で、馬場が湿っている可能性を考慮しておかねばならないだろう。

しかし、良馬場ではない阪急杯の例は少ない。現在の1400m戦となった2006年以降で見ても、その2006年と2015年のみが不良馬場で他はすべて良馬場での開催だった。

不良馬場だった2015年を振り返ると、1着は4角11番手から大外を伸びて追い込みを決めたダイワマッジョーレ。2着は先行策から中を伸びたミッキーアイル、3着は4角9番手から内を突いたローブティサージュと、道中の位置取りも直線の進路もバラバラ。もう一方の不良馬場だった2006年上位馬の4角位置に関しても、1着馬が6番手、2着馬が11番手、3着馬が2番手と、これまたバラバラだった。

このことから、展開による位置取りの有利不利よりも、悪化した馬場に対応できる馬を優先したほうがよさそうだ。

良馬場以外は5戦4連対 タマモブラックタイ

今年の登録馬のなかで、馬場悪化なら絶対に注目しておかねばならない馬がいる。それは4歳馬タマモブラックタイだ。近走は馬券に絡んでおらず、馬柱を見ると物足りなく見えるが、良馬場以外での成績は【3-1-0-1】と5戦3勝4連対。唯一着外となったのは1600mのGⅠ・NHKマイルC。ほか4連対はGⅢ・ファルコンSを含む、すべて1400m以下の短距離戦である。

連対実績が全て良馬場以外であり、古馬との対戦が始まってから馬券圏内入りがないことを差し引いても、あまりに魅力的だ。また、近走全てのレースでしっかり4角まで先行できており、OPクラスのペースについていけていない訳でもない。前走の北九州短距離Sも7着ではあるが、4角では3番手で1着とは0.3秒差。馬場悪化がプラスに働いて前進すると考えれば、思い切って狙ってみたくなる。

それとは反対に、一度も良馬場以外の芝を経験したことない馬が2頭いる。エンペザーとダノンティンパニーだ。

エンペザーはデビュー戦以外、芝ではマイル以上の距離しか走ったことがない。短距離適性がどうかというところだが、父がロードカナロアであることを考えると、1400mは血統的には問題なさそう。未知の重馬場適性もあわせて考えておきたい馬だろう。

ダノンティンパニーは園田デビューで3連勝後、1、2、1、1着で一気にOP入り。OP初戦となった前走ニューイヤーSは5着も、直線で最内を突いた際に勝ち馬に前を塞がれ、詰まってしまった。敗因ははっきりしている。そして、芝では良馬場以外の経験はないものの、園田時代にダートで重馬場を走って勝っており、湿った馬場が問題ない可能性も充分だ。

重馬場適性が高いタマモブラックタイと、反対に芝では良馬場しか経験がないエンペザーとダノンティンパニーの未知なる重馬場適性に期待し、この3頭を当欄の推奨馬としたい。

今回、本稿で私の連載は終了となる。長い間ご覧いただき、誠にありがとうございました。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYouTubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。



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