北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は20日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記にロシアのウラジーミル・プーチン大統領からロシア製の高級車が贈られたと伝えた。
KCNAによると、18日にロシア製リムジンが金氏の最側近のもとに届けられたという。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、プーチン氏が使用しているのと同車種のフルサイズ高級セダン「アウルス」を金氏に贈ったことを認めた。
金氏の実妹の与正(ヨジョン)氏は、「贈り物は両国の最高指導者間の特別な個人的関係を明確に示すもの」だと述べたと、KCNAは伝えた。
一方、韓国外務省は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁に違反する行為だとした。北朝鮮に高級車など特定の車種を供給することは国連安保理決議で禁止されている。
孤立する両国、緊密な関係築く
国際的に孤立している両国は、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、密接な関係を築いてきた。
両国とも国際的な制裁を受けている。それにもかかわらず、北朝鮮は戦争で使用するための大砲やロケット弾、弾道ミサイルをロシアに供給していると考えられている。いずれの国も制裁には違反していないとしている。
プーチン氏は昨年9月、ロシア極東アムール州のボストチヌイ宇宙基地で金氏を歓迎した。これは金氏にとって4年ぶりの外遊だった。
金氏はロシア訪問中、プーチン氏が所有するリムジン「アウルス・セナート」を視察し、後部座席に座るよう勧められる場面もあった。また、両首脳は互いに銃を贈り合った。
金氏は車好きで、高級外車をコレクションしているとみられている。
モスクワで取材するBBCのスティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長は、両首脳の個人的な関係は、金氏とドナルド・トランプ前米大統領との関係とは違い、「ブロマンス」(男性同士の恋愛にも似た強い友情関係)とは言い難いものだとしつつ、2人は親密な関係がもたらすメリットを理解していると指摘する。
ロシアと北朝鮮はいずれも、プーチン氏が近い将来、平壌を訪問する可能性を示唆している。