【開幕スタメン予想|磐田】守護神はずば抜けた経験値を持つ川島永嗣がリード。右SBは大卒ルーキー植村洋斗の先発が濃厚

いよいよ開幕を迎えるJ1リーグ。20チームに増えた24シーズンは、どんな戦いが繰り広げられるか。本稿ではジュビロ磐田の開幕スタメンを予想する。

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15選手が新しく加わり陣容は大きく入れ替わったが、2年目の横内昭展監督が打ち出すコンセプト、ベースとして構築を目ざすスタイルは、4-2-3-1のシステムとともに昨季と変わらない。ボールを大事にし、守備では即時奪回を優先し全員でアグレッシブな攻守を展開するサッカーでJ1に挑む。

先発メンバーの選考基準は、コンディションが整っており、強度、精度、判断などそのサッカーを体現できるクオリティでリードしていること。新加入選手も、昨季のレギュラーである程度、連係ができている既存選手も分け隔てなく全員をフラットに評価し、むしろ新しい組み合わせから生まれる力を歓迎する監督が、これまでのトレーニングマッチで採用した布陣から予想されるメンバーが、この11人だ。

1トップは、キャンプ地・鹿児島での清水戦で負傷離脱するも、順調に回復した期待の新エース候補、マテウス・ペイショット。あるいは好調のジャーメイン良か。左サイドハーフは昨季まで熊本でゲームメイカーとして活躍した平川怜が主に起用されてきている。

「攻守における前後左右の繋ぎ役でタスクが多い」と監督が重要視するボランチは、攻撃に強みを持つ上原力也と、熱く堅実なハードマーカーで守備に秀でる新ブラジル人レオ・ゴメスがコンビを組みそうだ。

左サイドバックは昨季終盤に負傷し、開幕戦に照準を合わせてリハビリに励んだ松原后が復帰。守護神は、技術とずば抜けた経験値を持ちGK陣に刺激をもたらす存在でもある川島永嗣がリード。

注目は右サイドバック。怪我人もおり、現時点では本来はボランチの大卒ルーキー植村洋斗の先発が濃厚だ。ボールを刈りとるために必要な間合いの巧みさなど、監督は守備力を買っており、練習試合でも好パフォーマンスを見せている。

植村にとってサイドバックは中学生で経験して以来のポジション。「徐々に慣れてきているし、役割をしっかりこなしつつ対人守備の強度だけではなく、ゲームの組み立てなどボランチで培った力を攻撃面でも出したい」と意欲を燃やす。

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昨季J1を初制覇した神戸をホームに迎える開幕戦。陣容と練度を誇る強豪といきなり対戦するが、監督も選手たちも「自分たちの現在地を知ることができる相手。どれくらいやれるかが楽しみ」と口を揃える。

シーズンを通じて成長を目ざすチームづくりは、始動からキャンプまでは守備の整備をメインに取り組み、磐田に戻ってから攻撃の構築に着手する工程で進んでいるが、開幕を前にチームは特に守備の出来に手応えを感じている。

「どのチームにも始めからボール保持を放棄するつもりはなく、我々の根本的なスタイルを変えることはない」と監督。開幕戦も例外ではないが、一方でそれができない時にどうするか、相手のやり方にどう臨機応変に対応するかも、監督がまずは残留を目ざす今季の戦いのポイントに置いているところ。

勝点獲得を目ざす神戸戦は、予想される相手のハイプレスやロングボールに対処し、J1屈指の攻撃を全員守備で封じて、チャンスを確実にゴールに繋げたい。

また、そうした戦いのベースとして監督も選手も最も重要と認識しているのが、王者の高い個の強度、能力に、一人ひとりが「どれだけしがみついていけるか」(監督)。「それができて初めてチームとして準備してきた守備や攻撃を出せる」と監督。

今季もチームキャプテンを務め、トップ下での開幕先発が濃厚な山田大記も、「ボールを持って良いサッカーを目ざすだけで勝とうというマインドの選手はいない。個が強いチームに対し、個で負けてもいいからチームで勝とうというサッカーを作ろうとしているのでもない。神戸に対してだけではなく、愚直に泥臭くやらないといけない場面がJ2より増えるし、その覚悟はみんな持っている。現在地をより正しく測ることができる神戸戦だからこそ、各々が個の戦いの局面で勝つということを責任感を持ってやりたい」と語る。

満員となるヤマハスタジシムで、新生ジュビロがどんな戦いぶりを見せるかが注目される。

取材・文●高橋のぶ子

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