2/23(金)・24(土)滋賀レイクス vs. 越谷アルファーズを見逃してはいけない4つの理由

2月23日(金)、24日(土)に滋賀ダイハツアリーナで行われる滋賀レイクスと越谷アルファーズの2連戦は、B2の今後を占う上でのビッグゲームだ。滋賀は29勝12敗(勝率.707)で西地区首位。対する越谷は25勝16敗(勝率.610)の東地区2位という位置にいる。この対戦を見る上で要チェックのポイントを4つ挙げてみたい。

1. 混戦の行方を左右するシーズンフィナーレの前哨戦
第一に知っておきたいのは、プレーオフに向けた上位チームの状況だ。

現在B2ではアルティーリ千葉(38勝3敗、勝率.927)が東地区首位を走っており、2位の越谷を13ゲーム引き離している。リーグ全体2位の滋賀とも9ゲーム差で、すでにプレーオフ進出も確定済みだ。一方西地区は、滋賀を追いかける2位のライジングゼファー福岡と3位の熊本ヴォルターズ(どちらも28勝13敗、勝率.683)までが1ゲーム差という大激戦で、1試合ごとに順位が変動する可能性がある。滋賀は現在福岡に0勝2敗(残り4試合)、熊本に3勝2敗(残り1試合)。どちらに対してもタイブレーカー上の優位を確実にしていない。

このプレーオフスポット争いに、地区が違う越谷も“当事者”として絡んでいる。滋賀との関係性で言えば、滋賀がこのまま首位を維持すれば越谷と同じ地区順位で並ぶ(つまり越谷が東地区首位を奪取する)可能性は、ありうるものの相当高いハードルであることは間違いない。しかし、もし滋賀が順位を下げれば、両チームが東西で同順位フィニッシュとなる可能性はぐんと高まる。実際にそうなる場合に同勝率ということになれば、この直接対決は上位シード獲得の一大要因になってくるのだ。

越谷は福岡にも熊本にも2勝2敗で、今後レギュラ―シーズンでの対戦はないが、タイブレーカーで優位なのは熊本に対してだけ。直接的な競争相手である滋賀を倒して、西地区上位の全チームを勝率で上回ることが重要な立場だ(どこもそうだろうけれど)。なお、越谷と滋賀はBリーグ創設以来初の顔合わせで、4月20日[土]、21日[日]の最終節でも越谷市立総合体育館で対戦することになっている。そんな設定からも、両チームの初顔合わせは、プレーオフを含めた今後の劇的な展開の前哨戦と言える。

2. 現在の連勝を伸ばしたい滋賀、上位チームに連勝したい越谷
滋賀は昨年12月16日の神戸ストークス戦から9連勝と好調の波に乗った後、1月21日に新潟アルビレックスBBとのアウェイゲームを落としたところからの6試合で1勝5敗と調子を落とした。その間は内容としても、オーバータイムが1試合あったとはいえ平均失点が102.3という“乱調”ぶり。ただし、ジャスティン・バーレルが故障から復帰した2月10日のベルテックス静岡戦からは再び4連勝と復調している。今節の越谷戦は、上位チーム相手に連勝を伸ばしてこの勢いをさらに強めていけるかどうかのターニングポイントだ。

一方の越谷は、現時点でプレーオフ圏内にある7チームとの週末の対戦を連勝で終えたのが2回しかない(連敗が2回、1勝1敗が7回)。相手が西地区首位のチームだけに、まずは1勝という考え方ももちろんあるだろうが、2戦先勝の3試合制というプレーオフのフォーマットを考えれば、2試合勝ち切って自信を深めることも重要に思える。それには実際に勝ち切る経験をするしかないのではないだろうか。

井上宗一郎が日本代表活動でチームを離れている上、前節の福岡戦でアクシデントに見舞われた松山駿と喜多川修平のコンディションも気がかりな状況なのは間違いない。しかし試合は待ってくれないし、残りの日程も限られている。念願の昇格を目指しプレーオフに突入するまでに、勢いを強めるためには、単純明快、目前の状況に対応して勝つしかない。

3. 越谷のディフェンス力向上はホンモノか
両チームのスタッツを確認すると、平均得点では滋賀が2位(88.5)に対し越谷が5位(84.4)とどちらもリーグのトップクラス。しかし平均失点に目をやると、越谷が14位(74.1でリーグ最少)に対し滋賀が6位(82.1、多い方から数えて6番目)と比較的大きな差がある。

2月16日のライジングゼファー福岡戦での越谷アルファーズは、チームとして厳しいディフェンスを披露した(写真/©B.LEAGUE)

越谷の失点を月ごとに追いかけてみると、10月と11月が73点台だったのに対し、オーバータイムの末111-117で敗れた熊本戦を含む12月が76.0、安齋HCが「今シーズン最悪の出来」と称した福岡相手の大敗(64-90、1月27日)を含む1月は77.4まで上昇していた。しかし2月の6試合では今シーズン最小の69.7まで下がっている。対戦相手が違うのでそのまま単純比較はできないが、前月比でほぼ10%失点を減らせた事実は、ギアの高まりを感じさせる。

実際、安齋竜三HCは前節の福岡戦GAME1で74-59の勝利を手にした後、今シーズン最高のディフェンスができたという手応えを明かしていた。それと同じ威力を西地区首位の滋賀相手に発揮できるかどうかは大きな見どころとなる。

ただし総合的な評価としては、それと同時にオフェンス面の停滞を生じないことが重要だ。得点面でのキープレーヤーであるLJピークを核にしながら、個の力に依存しないオフェンスを展開できるかどうか。2月4日の岩手ビッグブルズ戦では67-69というロースコアで痛い黒星を喫しているが、滋賀を相手に同じ結果は避けなければならない。

4. 外国籍がそろっている滋賀の地力やいかに
最後に、滋賀の視点から触れておきたいのは外国籍プレーヤーの活躍だ。滋賀は今シーズンやや大きめの波に揺られながらここまでの41試合を戦ってきているが、ダビー・ゴメスHCはその要因の一つに、外国籍プレーヤーがそろって出場できる機会が少なくゲームプランを変更せざるを得なかったことを挙げていた。これは、言い訳というよりも現状分析として注目したいポイントだ。

故障から復帰後の4試合で好調を保っているジャスティン・バーレル(写真/©B.LEAGUE)

前節までの4連勝でライアン・クリーナー、ブロック・モータム、ジャスティン・バーレルの3人が元気にプレーし、アジア枠のキーファー・ラベナを含め大きな貢献をもたらしていることは、チームとしてうれしいニュースだ。それも、クリーナーが平均15.5得点(フィールドゴール成功率64.9%)に7.8リバウンド、モータムが平均17.8得点(フィールドゴール成功率56.3%)に9.3リバウンド、バーレルが平均16.6得点(フィールドゴール成功率72.7%)に7.5リバウンドという具合に個々にパフォーマンスが分散して偏りがない。ラベナも平均16.0得点、4.8アシストと十分なパンチ力を発揮している。

しかし越谷は、屈強なアイザック・バッツや運動能力もサイズもあるジャスティン・ハーパー、帰化枠で登場する小寺ハミルトンゲイリーらのフィジカルで力強いプレーを大きな武器としているチームだ。川真田紘也が日本代表活動で不在にしている中、バーレル復帰後初めて対戦するプレーオフ圏内のチームでもあるこの対戦で活躍してこそ、外国籍トリオ(アジア枠のラベナも含めてもいいだろう)は滋賀のブースターを安心させられるのではないだろうか。

このほかにももちろん注目すべきポイントは数多くある。両チームには、滋賀に湧川颯斗や江原信太朗ら、越谷にも笹倉怜寿や星川堅信など若手の有望株も在籍しており、シーズンの流れに影響を及ぼす大活躍を見せてくれるかもしれない。レギュラーシーズン終盤戦に向け、両チームとも一つでも多く勝ち星を重ねたい状況。間違いなく面白い対戦になるはずだ。

© 日本文化出版株式会社